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2017 年度 実施状況報告書

生物間相互作用に介在する小分子RNAの進化機構

研究課題

研究課題/領域番号 17K19269
研究機関神戸大学

研究代表者

中屋敷 均  神戸大学, 農学研究科, 教授 (50252804)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワードRNA / いもち病菌 / 小分子RNA / RNAi
研究実績の概要

本研究は、イネ科植物いもち病菌を材料として、特に植物との相互作用に関連する小分子RNAに焦点を当てた研究である。本年度は、いもち病菌の細胞内にどのような小分子RNAが存在しているのかを網羅的に探索した。特に小分子RNAの生合成に関与すると考えられるRNAi経路の遺伝子欠損株にも着目し、その遺伝子欠損により小分子RNAにどのような変化が現れるのかに注目した。
その結果、いもち病菌には、ウイルスや転移因子など、これまでRNAiのターゲットと考えられてきた配列に対する小分子RNAが確かに存在し、それらはRNAi関連タンパク質の欠損株では著しく減少することなども確認できた。これらは既報の結果を裏付けるものとなった。しかし、驚くべきは、そういったRNAi経路に依存する小分子RNAは、全体からすれば数パーセントというごく少数であり、大部分はrRNAやtRNAなどの主要なRNAに由来するもの、そしてゲノム配列の様々な部分にマップされるものであった。
特にゲノムにマップされる小分子RNAはRNAi経路に関与する遺伝子の欠損影響を受けないものがほとんどであり、これまで知られているsiRNAやmiRNAとは異なったクラスの小分子RNAであることが示唆された。
また、細胞外に分泌される小分子RNAについても、次世代シークエンサーを用いた配列解析に供した。その結果、ゲノムの様々な領域から産生されたと考えられる小分子RNAを検出することが出来た。現在、ノーザン解析などを用いて、次世代シークエンスの結果を検証中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

今回、野生株、Dicer破壊株、RdRP破壊株、Argonaute破壊株における小分子RNAの網羅的な解析を行ったが、これまで予想していなかった新たなクラスの小分子RNAをいもち病菌が保有することが明白になったと思っている。これは、計画時には想定していなかった発見であり、この新しいクラスの小分子RNAの生物学的機能に関してこれから調査して行きたいと思っている。また、計画にあった細胞外へ分泌される小分子RNAの解析も進めており、これらが本当に分泌されたものなのか、死細胞から漏れ出たものなのか等、慎重な判断が必要とされる部分がまだ残っていると考えている。これらは今後の課題である。

今後の研究の推進方策

ここまで研究は順調に進んでおり、得られているシークエンス情報のin Silicoでの解析を精力的に進めると共に、そこから得られた知見を実際のウェットな実験によって、確認・発展させていく方向で進めて行きたい。
特に新しいクラスと考えられる小分子RNAの特徴づけと、植物との相互作用に関与することが期待される小分子RNAに焦点をあてて、今後の研究を進めていく予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] A fungal Argonaute interferes with RNA interference2018

    • 著者名/発表者名
      Nguyen Q, Iritani A, Ohkita S, Vu BV, Yokoya K, Matsubara A, Ikeda KI, Suzuki N, Nakayashiki H.
    • 雑誌名

      Nucleic Acids Res.

      巻: 46 ページ: 2495-2508

    • DOI

      10.1093/nar/gkx1301

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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