研究課題/領域番号 |
17K19274
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
朽津 和幸 東京理科大学, 理工学部応用生物科学科, 教授 (50211884)
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研究分担者 |
来須 孝光 東京理科大学, 理工学部応用生物科学科, 研究員 (50422499)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | オートファジー制御 / 活性酸素種 / 澱粉粒 / 澱粉代謝 / α-アミラーゼ / プログラム細胞死 / タペート / プロテインボディ |
研究実績の概要 |
植物の花粉成熟過程において、葯のタペート細胞のプログラム細胞死(PCD)が決定的に重要であり、その不全は不稔を誘導し、農業上も重要な問題となる。ROS生成がタペートPCD制御の鍵転写因子EAT1により制御される可能性を検証した。2種のROS検出プローブを用いた解析により、葯発達ステージ9-11におけるROSの一種であるスーパーオキシドアニオンラジカルの蓄積を解析した。一方、オートファジー可視化マーカータンパク質をタペート細胞特異的に発現させた形質転換イネを利用し、ステージ10付近におけるオートファジー誘導を観察した。葯特異的なROS生成酵素の変異体を用いて、オートファジー誘導レベルを野生型と比較解析を進めることで、タペート細胞内のROS生成およびオートファジー誘導の関連性の検証を進めた。 オートファジー欠損変異体の種子の澱粉粒・プロテインボディの形態・澱粉や糖等の代謝産物を解析した。遺伝学的解析により、胚乳内と親側のどちらのオートファジーが種子の登熟不全に関与するのかの解析を進めた。種子及び登熟過程各期の胚乳のプロテオーム解析、トランスクリプトーム解析、α-アミラーゼ抗体を用いたウエスタンブロット、活性評価を行い、澱粉の合成・分解系等の代謝関連酵素群のタンパク質・遺伝子発現を網羅的に比較解析した。オートファジー欠損変異体において、胚乳発達過程における胚乳・上位葉における糖・澱粉代謝プロファイル、可溶性糖・澱粉含量の定量解析、登熟種子澱粉のアミロース・アミロペクチンの鎖長分析を進めた。 新規オートファジー活性化技術の開発を目指して、オートファジー活性制御候補遺伝子の発現抑制系統を作成した。ケミカルスクリーニングにより植物で有効なオートファジー活性化剤の探索を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
登熟期の環境ストレスによる種子品質低下におけるオートファジーの役割の検証・解明に関する研究は順調に進展している。出穂・開花期のストレスによるタペート細胞不全・稔性低下におけるオートファジーの役割の検証、新規オートファジー活性化技術の開発については、実験系の構築に時間を要したが、次年度の本格的実験の準備を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
葯特異的なROS生成酵素の変異体を用いて、オートファジー誘導レベルを野生型と比較解析を進めることで、タペート細胞内のROS生成およびオートファジー誘導の関連性の検証を進める。転写ネットワークによるオートファジー制御機構の理解を目指して、トランスクリプトーム解析を進める。新規オートファジー活性化技術の開発を進め、それを利用して稔性・種子品質低下の克服に向けた取り組みを進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
出穂・開花期の植物に環境ストレスを与える実験系、新規オートファジー活性化技術の開発について、実験系の構築に予想以上の時間がかかったため、次年度に集中的に実験を行う予定である。
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