研究課題/領域番号 |
17K19276
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
飯田 祐一郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, 主任研究員 (00456609)
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研究分担者 |
藤原 和樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 研究員 (40725008)
篠原 信 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, 上級研究員 (90326075)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 根毛 / 細菌 / 抵抗性誘導因子 |
研究実績の概要 |
本研究では、根毛伸長の誘導性を持つ細菌群から単離し、細菌との相互作用における根毛の新たな誘導メカニズムを明らかにする。今年度は根圏バイオフィルムから分離した細菌ライブラリーを充実させ、それら細菌の根毛誘導性を解析した。12ウェルプレート内で一般的な無機養液に懸濁した培養細菌を加えた後、養液上に浮遊させたナイロンメッシュ上でシロイヌナズナを発芽させ、1週間後に倒立型顕微鏡により各ウェル内の根毛を観察した。その結果、根毛伸長がむしろ抑制される無機養液において、根圏バイオフィルムから分離したいずれの細菌株の処理によってもシロイヌナズナの根毛が伸長し、また濃度依存的に誘導することが明らかとなった。 一方、根毛が誘導される有機質養液において根毛伸張が認められない細菌群も明らかとなった。コマツナの発芽種子に有機物とアンモニア生成菌群を同時に接種すると根毛は一晩で溶解したが、これに硝化菌を接種した場合は根毛が健全に保たれ、植物体も健全に生育することが明らかにとなった。以上の結果は、有機物から生じたアンモニアが根毛形成を阻害すること、また硝化菌の存在下ではアンモニアが速やかに亜硝酸・硝酸へと変換され正常に根毛が伸張することを示している。 今年度の成果によって無機養液内における根毛誘導は細菌に共通した因子である可能性が高いことが明らかとなった。次年度は既知の細菌構成因子について根毛誘導性を解明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた研究計画は滞りなく実施され、また次年度につながる研究成果も得られた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は根毛形成における仮説の確実な検証のために基盤的な研究計画を設計した。最終年度となる次年度は大幅な研究計画の変更はなく、初年度の成果を元に細菌の細胞壁を構成するペプチドグリカンや、鞭毛タンパク質(フラジェリン)、伸長因子(elongation factor-Tu)、各種ペプチドグリカン、リポ多糖類等、植物の基礎的な抵抗性を誘導するMAMPsについて根毛誘導性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究で予定していた大量の細菌種の分離や植物の培養などの一部作業が、研究室内で実施している他の研究課題と重複していたことから、効率的な予算使用が可能となった。 次年度に行うMAMPsペプチドの一部は人工合成しなければならず高額であるため、少量を用いた予備実験のみを行う予定であったが、初年度の未使用分の予算を用いて十分な解析が可能となる。
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