研究課題/領域番号 |
17K19284
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
廣野 育生 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (00270926)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | クルマエビ / 組織培養 / 細胞培養 / 遺伝子発現プロファイリング |
研究実績の概要 |
1. 細胞培養に用いる培地などの検討:クルマエビ血液系細胞の培養基礎培地として2倍濃度L-15培地と人工海水に細胞培養培地L-15に含まれるアミノ酸とビタミンを2倍量添加し培地を使用した。これらの培地にウシ胎児血清を5%添加有りと無しとを比較したところ、ウシ胎児血清を加えないほうが細胞の生存は良い傾向がみられた。次いで、クルマエビの血漿成分について、全血漿と50kDあるいは100kDで分子量分画したものを組織培養に用いたが細胞の生存に特に違いは見られなかった。クルマエビ血漿を60度30分処理することにより、メラニン化による培地の黒化を軽減することができることがわかった。 2. 時間経過における造血組織の遺伝子発現解析:クルマエビの造血組織を人工海水に細胞培養培地L-15に含まれるアミノ酸とビタミンを2倍量添加し、クルマエビ血漿成分を10%加えた培地で培養した。一定時間毎にサンプリングし、mRNAを抽出した。次いで、次世代シーケンサーで遺伝子発現プロファイリングを行なった。細胞増殖に関連すると思われる分子の配列を複数得ることが出来、今後の細胞培養における条件検討に使える可能性が示唆された。 3. 異なる組織に存在する血球で発現する遺伝子の比較:クルマエビの末梢血細胞、エラに存在する血液細胞およびリンパ様器官から血液細胞を分離し、mRNAを抽出後に次世代シーケンサーで遺伝子発現比較を行った。個体差を考慮し、3個体を使用した。これらの3つの組織における遺伝子発現パターンは異なっており、機能的にも異なることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クルマエビの血液細胞が存在する組織で異なることを明らかにすることが出来た。細胞培養における培地の検討も進み、2年目の研究に向けて基盤となる情報を蓄積できたことから、ほぼ計画予定通りに進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は造血組織に存在する血液細胞と抹消血中に存在する血液細胞において発現する遺伝子について詳細に解析し、造血組織を維持するために必要な遺伝子群の同定を行う。さらに、細胞培養のための培地組成についても比較検討を継続し、培地組成の至適化を進める。
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