高木の師部輸送を説明するために、ヒノキ林において、13Cラベリングによる師液流の実測と各種説明変数を測定した。師液流の駆動力である膨圧について、葉(ソース)と幹内樹皮(シンク)の水ポテンシャル・浸透圧より推定し、夜間の方が昼間よりも駆動力が大きいことが示された。コンダクタンスについては、樹皮サンプルを採取し、師液の糖濃度を測定して師液の粘性を算出し、師部の直径や密度に関する解剖学的なデータを得た。樹高20.4mの個体に13Cラベリングを行い実測された炭素移動速度は0.12-0.25 m h-1であり、部位・時間帯によって異なった。今後は師部輸送に関して、日変動を考慮にいれた理解が必要である。
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