本研究では、樹木の通道組織構造体内に触媒を固定化し、反応流路として利用する戦略により、高効率な連続フロー有機合成を志向した新規フローリアクターの開発を目指した。樹木の通道組織そのものではなく、樹木セルロースパルプで検討する方針転換を行ったが、広範な有機合成に用いられるパラジウムナノ粒子触媒をパルプに固定化する手法を確立し、それを多孔質な紙に成型した「ペーパーリアクター」を開発した。樹木の通道組織や紙特有のナノ-マイクロ細孔構造を利用することで、リアクター内部の物質や光の輸送効率を制御し、連続フロー式クロスカップリングにおける高い触媒反応効率、および、光照射による触媒の直接加熱を達成した。
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