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2019 年度 研究成果報告書

春の光阻害は常緑針葉樹の生存を決める要因となる

研究課題

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研究課題/領域番号 17K19301
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
研究分野 森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

北尾 光俊  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60353661)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2020-03-31
キーワード光阻害 / 常緑針葉樹 / 開葉
研究成果の概要

本研究は、常緑針葉樹であるトドマツを対象として、遺伝子発現の網羅的解析と代謝反応の包括的解析を行うことで開葉直前に光阻害感受性が増大する原因を生理生化学的側面から特定し、春季の光阻害が樹木の生存へ与える影響を解明することを目的とした。クロロフィル蛍光反応測定によって、トドマツ苗木の開葉直前に光阻害感受性が上昇することが明らかとなった。また、遺伝子発現解析とメタボローム解析によって、針葉内のデンプンの分解にともなう糖濃度の上昇が春の光阻害の原因として示唆された。針葉内のデンプンを糖へ変換することは新しい葉の開葉と展開に不可欠であるが、同時に開葉直前の光阻害の危険性を増大させると考えられる。

自由記述の分野

樹木生理

研究成果の学術的意義や社会的意義

遅霜の害として知られる常緑針葉樹の晩霜害は、新葉の開葉直前に感受性が高く、既存の葉が障害を受けることを特徴とする。晩霜害は晴天日の早朝に放射冷却によって生じることから、低温の影響だけでなく、強光による光阻害の関与が疑われてきた。クロロフィル蛍光測定により、開葉の直前に既存の葉の光阻害感受性が一時的に上昇することが明らかとなった。また、開葉直前のデンプン分解による糖濃度の一時的な上昇が、光合成のダウンレギュレーションを引き起こし、光阻害感受性を増加させることが示唆された。これらの研究成果は地球温暖化による開葉の早期化が、常緑針葉樹の晩霜害へ与える影響を予測する際の科学的知見となる。

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公開日: 2021-02-19  

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