現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、感染試験により作出した病魚から血清と臓器を保存するとともに、血清抗体カラムの作成方法と、微量な病原体ゲノムを増幅してシーケンスする方法の条件検討を完了した。 具体的には、感染試験はヒラメを用いてEdwardsiella tarda(グラム陰性細菌), Streptococcus iniae(グラム陽性細菌), Viral hemorrhagic septicemia virus (一本鎖RNAウイルス)、ブリを用いてNocardia seriolae(グラム陽性細菌), Ichthyobacterium seriolicida(グラム陰性細菌)とマダイイリドウイルス(二本鎖DNAウイルス)、ギンザケを用いてPiscin reovirus 2(二本鎖RNAウイルス)の感染試験を実施した。ギンザケ以外の魚種では、供試魚の約半数が死亡した時点で無作為に取り上げた供試魚より腎臓および脾臓を採材し、ディープフリーザーに保存した。ギンザケでは死亡が起こらなかったため、感染2週間後に同組織を採材した。血清は、感染から2-4週間の間に採取した。E. tardaおよびS. iniaeに感染したヒラメの血清抗体価を測定したところ、多くの個体で各細菌に対する抗体価が上昇していた。 血清抗体カラムの作製法では、魚類に共通して血中抗体と結合する担体を探索したところ、proteinA担体によりブリ属、マダイ、ヒラメ、マハタ、イシダイの抗体を吸着できるが、ウナギは供試したいずれの担体にも結合しなかった。 微量な病原体ゲノムを増幅し、クローニングする手法を検討し、ローリングサークル法によって非特異的に増幅したゲノムを、超音波によって物理的に切断し、プラスミドベクターにランダムにクローニングする方法によって、細菌とウイルスで共通の手法で簡単かつ迅速にライブラリー化することができた。
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