研究課題/領域番号 |
17K19304
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松下 秀介 筑波大学, 生命環境系, 教授 (50355468)
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研究分担者 |
山本 和博 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (70504124)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 離農促進 / 高齢農業経営者 / 実験的経営研究 / 経営意思決定 / 農地流動化 |
研究実績の概要 |
なぜ農業経営者は高齢となっても簡単には離農の意思決定をしないのか.この理由について実証的に解明することは,農地流動化に関する潜在的な可能性を顕在化させるための基礎的知見の収集として緊急の課題である. 本研究では,実験的経営研究手法を援用し,高齢な農業経営者の離農に対する阻害要因・促進要因を解明することにより,離農促進方策の提案を試みている.研究組織内の役割分担としては,文献調査と2次データを用いた農地市場・農業労働市場・農業技術情報等の動向分析を主に松下が担当する.次に,実験的経営研究手法を用いた現地でのサーベイを共同して行う.そして,高齢農業経営者の意思決定モデルの構築を主に山本が担当する. 構築する具体的な意思決定モデルについては,農業経営者の離農に関する意思決定行動は,各人の離農に対する動機の強さと阻害要因の強さとの葛藤であり,多様な阻害要因解消のための経営行動であると捉えルシ点が重要である.つまり,離農に関する意思決定場面において,各意思決定者(農業経営者)の経営理念に規定される離農に関する潜在的動機が機能し,動機が顕在化すれば,離農に関する意思決定が成立すると考えられる. 今年度は,構築する具体的な意思決定モデル(農業経営者の離農に関する意思決定行動は,各人の離農に対する動機の強さと阻害要因の強さとの葛藤であり,多様な阻害要因解消のための経営行動であると捉える分析フレーム)実証する対象を選定するため,複数の現地調査による実証可能性の検討を行った.以上の作業を経て,愛媛県久万高原町におけるトマト産地形成を対象事例として選定し,実証分析を予定した.ところが,2018年7月に発生した西日本豪雨の影響により,これらの調査先との連携を一時中断せざるを得ない状況となっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では,実証研究のために,農地賃借や経営継承に関する農家行動の現地調査が欠かせない.また,共同研究者である愛媛大学山本和博准教授との共同作業において,愛媛県内数カ所での継続調査を実施してきた.ところが,2018年7月に発生した西日本豪雨の影響により,これらの調査先との連携を中断せざるを得ない状況となっている.よって,研究期間を1年間延長することにより,これらの調査・分析を継続する必要が生じている.
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今後の研究の推進方策 |
継続してデータ収集を進める.複数年にわたる調査期間を設ける理由は,研究実施期間においても各種市場の動向や政策的側面の変化が認められると予想されることにより,対象としている地域・農業経営者におけるこれらの外部条件変化に対する対応状況(リスク対応等)を経時的に観察し,経営意思決定の特質に関する情報を最大限に引き出すためである.また,これらの2年間におけるデータ収集は,実験的経営研究としての動学的プロセスへの接近を目的としており,中期的な経営意思決定の特質に関する情報を収集するためでもある. 加えて,最終年度としては,分析結果を調査対象とした農業経営者,関連機関等にフィードバックする作業を行い,整理された知見について議論し,それらの妥当性を確認する.また,最終的な成果のとりまとめ(学会大会等での成果発表,学術誌への論文投稿等)を行い,研究成果の学術的な位置付けを図る.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では,実証研究のために,農地賃借や経営継承に関する農家行動の現地調査が欠かせない.また,共同研究者である愛媛大学山本和博准教授との共同作業において,愛媛県内数カ所での継続調査を実施してきた.ところが,2018年7月に発生した西日本豪雨の影響により,これらの調査先との連携を中断せざるを得ない状況となっている.よって,研究期間を1年間延長することにより,これらの調査・分析を継続する必要が生じた.
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