メタン発酵プロセスの代謝系は複雑であり,発酵阻害に対する処置はこれまで対症療法的で,根本原因の特定は困難だった.本研究で確立した分光・蛍光情報による発酵阻害の診断手法は,発酵阻害の原因を特定するといった原因療法が実現しうることを示している.メタン発酵は,有機性廃棄物からエネルギーと肥料成分を回収する資源化技術であり,社会の持続性向上に寄与する基幹技術として期待されている.本研究は,メタン発酵の安定的運転を可能とし,本技術のさらなる普及に貢献しうる.また,分光データと微生物情報のネットワーク解析は世界初の試みであり,多様な微生物群集と複雑な代謝系の変動を可視化例として学術的に重要な知見である.
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