研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究では,日本盲導犬協会に所属する763頭の盲導犬候補個体に対する訓練士による行動傾向評価データを用いて盲導犬適性気質を抽出した。続いて,適性と有意に関わる「注意散漫」気質について,215個体の遺伝子型データをもとにゲノムワイド関連解析を実施した。その結果,「注意散漫」気質と有意に関連する一塩基多型が36番染色体のplakophilin4遺伝子上に存在することが明らかとなった。
獣医動物行動学
本研究が進展し,盲導犬の適性気質に関わる感受性遺伝子多型がリストアップされれば,これまでに最重要視されている適性気質が判明している海外の使役犬に対して即座に本手法の適用が可能となる。こうした研究の発展は,様々な使役犬の育種繁殖方法に科学的な根拠を与え,育成効率の向上に寄与するだけでなく,適否に関わる最重要気質の異なる施設間での子犬の授受にも貢献するなど,有限数の動物の能力を最大限に活かすという動物福祉学的観点からも意義が大きいと考えられる。