研究課題
複数のトキソプラズマ日本分離株について、マウス及びブタにおける病原性を確認するとともにその遺伝子型を調べた。調査した株のうち1株が、欧州(ユーラシア西部)では報告がないタイプであることが強く示唆された。この株は、ユーラシア西部におけるタイプ3型に酷似した遺伝子配列を持つものの、マウスにおける病原性が全く異なっていることが明らかになった。現時点では、世界の他地域からこのような株の報告はないが、このような株がユーラシアのどのあたりまで分布しているのか明らかにする必要がある。今後はこの株と同様の株のユーラシア大陸における分布を明らかにすることになる。またロシア各地におけるヤギのトキソプラズマ感染率を調査し、広い範囲に本原虫が分布していることが明らかになった。いっぽう、市街地から遠く離れた地域のげっ歯類では感染率が極端に低いことが分かった。本原虫は人間活動とともにその分布を世界に広げていったのではないかとする仮説をサポートする状況が明らかになりつつある。これらの知見の一部については、論文、学会において公表した。
3: やや遅れている
ロシア各地におけるトキソプラズマの分布が明らかになるとともに、感染動物のDNAサンプルの収集も順調に進んでいる。一方で予想外に虫体数の少ない検体が多く、遺伝子型の決定に時間がかかっている。
今後は得られたDNAサンプルからトキソプラズマの遺伝子型を決定することになる。虫体数が少ない検体が多く、いかに効率よく標的遺伝子をPCRで増幅するかが問題になる。この部分の予備実験を慎重に進めたうえでタイピングを行う予定である。別の寄生虫を用いた予備実験で、これまでにごく微量のDNAからシングルコピーの遺伝子を増幅することに成功していることからこの条件を基準にトキソプラズマに最適な条件を絞り込む予定。
虫体数の少ない検体の遺伝子型確定に時間がかかっているため。従来法では確度の高いデータが得られないことが分かり、検査法の最適化を実施するのに時間がかかったため。
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Parasitol Int.
巻: 67 ページ: 112-114
doi: 10.1016/j.parint.2017.