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2017 年度 実施状況報告書

内在性レトロウイルス感染制御による安全な異種移植用ブタの作製

研究課題

研究課題/領域番号 17K19325
研究機関徳島大学

研究代表者

音井 威重  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (30311814)

研究分担者 竹本 龍也  徳島大学, 先端酵素学研究所(オープンイノベ), 教授 (30443899)
谷原 史倫  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 特任助教 (90754680)
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワード内在性レトロウイルス / ゲノム編集 / ブタ / 異種移植 / CRISPR/Cas9
研究実績の概要

ブタは生理学的および解剖学的にヒトに比較的近いことから、移植用代替臓器の提供動物として期待されている。しかし、全てのブタは内在性レトロウイルス(PERV)をゲノム中に保有しており、移植後にヒトへの感染が懸念されることから異種移植の障壁となってきた。そこで本研究は、申請者らが開発したゲノム編集による新規手法(GEEP法)を用い、受精卵の段階でPERVの複製に関与する重要遺伝子(pol)をノックアウトすることにより、ヒトへの感染能力をなくした安全なブタを作出することを目的とした。実際には、GEEP法を用い1細胞期(体外受精胚)の段階でゲノム編集によりノックアウトし、作出したゲノム編集胚を受胚ブタへ移植することで、pol遺伝子ノックアウトブタを作製する。本年度はGEEP法を用い1細胞期の段階でゲノム編集によりノックアウトする技術を確立することを目指した。特に最適のガイドRNA(gRNA)を決定することが重要であることから、5種類のgRNAを用いGEEP法によりゲノム編集後の胚発生率、pol遺伝子の変異導入率を指標に検討した。その結果、胚発生率とpol遺伝子の変異導入率に負の相関性が認められた。また、その原因を探索するために分割胚での変異導入率と変異効率を比較した結果、胚発生率の低下と強く関連するgRNAは、変異導入率および変異効率の両率とも高いことが示唆された。すなわち、pol遺伝子のノックアウトは胚発生と関連していると考えられた。一方、変異導入率の高いgRNAでゲノム編集後に発生した胚盤胞胚において、その変異効率は17%程度であったことから、全てのpol遺伝子をノックアウトできないことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでゲノム編集における最適のgRNAを決定するため、5種類のgRNAを用いGEEP法によりゲノム編集後の胚発生率、pol遺伝子の変異導入率を指標に検討した結果、胚発生は低下するものの変異導入率の高いgRNAを同定した。また、2種類での組み合わせのgRNAでpol遺伝子のゲノム編集した胚における編集効率は、変異導入率の高いgRNAに依存することを明らかにした。

今後の研究の推進方策

変異導入率の高いgRNAを候補に、他のgRNAとの組み合わせも検討したのちに、2種類以上の様々な組み合わせのgRNAでpol遺伝子のゲノム編集胚を、発情同期化したレシピエント雌豚に移植し、移植後の胎仔の発育、また分娩後の産子正常性について検討する。産子組織からのpol遺伝子変異場所および変異程度と胎仔発育への影響について解明するほか、組織から細胞系を確立し、ヒト細胞(HEK293細胞、ヒト胚性腎細胞)との共培養後にPERVpol,gaga,envのDNA量を測定し、PERVの感染有無を評価する。

次年度使用額が生じた理由

(理由)
本年度は、ゲノム編集に用いるgRNAの選別に時間を要したことと、レシピエント豚の供給が少なかった。さらに、他の目的のゲノム編集胚の移植によりレシピエント豚を使用したため、移植等に関する消耗品および旅費の残額が生じた。
(使用計画)
本年度は変異導入率の高いgRNAの選別も終了していることから、次年度は、特にpol遺伝子のゲノム編集胚移植を中心に進め消耗品等を使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Effects of voltage strength on development and quality of electroporated porcine embryos.2017

    • 著者名/発表者名
      Nishio, K., Tanihara, F., Nguyen, T.V., Kunihara,T. and Otoi, T.
    • 学会等名
      2017 Transgenic Technology Meeting
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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