研究課題
本研究は光によって高時間分解能で細胞内に脂質分子を産生するための技術、即ち「脂質光遺伝学」の確立を目指している。そのターゲットとして、細胞増殖を制御するスフィンゴシン1リン酸や細胞分化、細胞運動を制御するホスファチジルイノシトールリン脂質(PIP)を始めとした機能性脂質分子を行った。PIP3に関しては、CRY2を基にした光遺伝学ツール(PPAP1.0)が、青色光依存的にPIP3を産生することを、PIP3シグナルの下流に存在するAktタンパク質のリン酸化の増加を指標に明らかにした。さらに、一細胞に局所的に青色光を照射することで、その領域のみでPIP3を産生させ、ラメリポディアや細胞膜の伸展を誘導することができた(Anal Sci. 2019 Jan 10;35(1):57-63.)。現在、さらに機能向上を目指してPPAP2を開発し、マウスを始めとした個体への応用を目指している。スフィンゴシン1リン酸の光遺伝学ツール(S1P opto)に関しては、この3年間で、プロトタイプは作製した。現在、機能の向上を目指すために様々なツールのカスタマイズを遂行中である。今後は、より良いツールを作製しS1P optoを発現したメラノーマ細胞などをマウスの皮下などに移植して、青色光有無によって、形成される腫瘍が如何に変化するのかを明らかにしていく予定である。さらに、腫瘍の周辺の微小な転移巣を2光子顕微鏡で観察することも行う。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (1件)
FASEB J
巻: 34 ページ: 3838-3854
10.1096/fj.201901783RR
Cancer Sci.
巻: 110 ページ: 3708-3717
10.1111/cas.14221
Oncol Lett.
巻: 18 ページ: 1557-1563
10.3892/ol.2019.10456
Nature Chemical Biology
巻: 15 ページ: 882~888
10.1038/s41589-019-0338-y
International Journal of Molecular Sciences
巻: 20 ページ: 2935~2935
10.3390/ijms20122935
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻: 116 ページ: 8301~8309
10.1073/pnas.1818836116
Acta Biomaterialia
巻: 88 ページ: 383~391
10.1016/j.actbio.2019.02.026
Journal of Biochemical and Molecular Toxicology
巻: 33 ページ: e22288~e22288
10.1002/jbt.22288