通常の顕微鏡で撮影した後に超解像度を得る方法の開発を行った。骨格筋ミオシンフィラメントとアクチン線維が相互作用するさい、共同的な運動が観察されている。そこで、金ナノ粒子(直径40nm)にアビジンを結合し、一方ミオシン分子のライトチェーンにはビオチンを結合した。そして骨格筋ミオシンフィラメントに顕微鏡の分解能以内に位置するミオシン2~3分子に金ナノ粒子を結合し、高速カメラで、金ナノ粒子を高速でイメージングを行った。金ナノ粒子の像が、平行光のレーザーによってゆがむことを避けるために、アキシコンレンズを用いた、輪帯証明を行うことで、一様な像を得ることができた。そして、分解能以内にある複数の金粒子の位置を解析するために、上田正仁研で開発されたMulti-Emitters Localization 法を用いて、各ミオシン分子(粒子)の変位に分離することに成功し、アクチンと相互作用時の各分子の動態を0.1msの高時間分解能で計測することがきた。各分子はアクチンとの相互作用時において大きく変位することが明らかとなった。また分子間の動きが同調している様子も観察された。 蛍光微小管の超解像イメージングをImage-Jに2017年にPlug-Inされた強度ベクトルの向きから蛍光の位置を決定する超解像法を用いて、細胞内の微小管の超解像イメージングを行った。ヒト乳がん細胞KPL4にtubulin-GFPを発現した細胞を用いて、微小管の蛍光画像を1frame/sの速度で、60枚撮影し、強度ベクトル法を用いて、超解像の解析を行った。その結果、共焦点顕微鏡では、分離不可能な複数本の微小管であっても、分離することができ、分解能がおおよそ2倍に改良された。この方法を用いて、微小管上を移動する小胞を検出することができた。微小管上を運動する小胞は、時折別の微小管に乗り換えることも明らかとなった。
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