研究課題/領域番号 |
17K19344
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
黒川 裕美子 国立遺伝学研究所, 新分野創造センター, 特任研究員 (10381633)
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研究分担者 |
松崎 由理 東京工業大学, リーダーシップ教育院, 特任准教授 (30572888)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | ユビキチン / DNA / RNA / K63 / ポリユビキチン / 核酸 |
研究実績の概要 |
平成29年度は「核酸によるK63Ub鎖の形成促進反応」について、分子メカニズム解明を目指し解析を進めた。特にDNAとユビキチン化E2酵素であるUbc13/Mms2の直接結合様式の解析については、MEGADOCKプログラムを用いた結合予測を取り入れた詳細な解析が進行中である。また、予定していた高速AFMを用いた解析が可能となり、ssDNAとUbc13/Mms2(E2)の結合をリアルタイム観察できた。ssDNA上にE2が集合してくる様子が観察され、数十秒後には複数のssDNA-E2複合体同士が集まり大きな凝集体が形成された。このことから、核酸による反応促進はE2が直接核酸に結合することが重要であり、さらに核酸を足場にE2同士が凝集することが反応を促進するのに役立っているのではないかと考えられた。一方でdsDNAではユビキチン鎖伸長促進反応が進行しにくいこともこれまでの解析からわかっており、核酸の可塑性が反応促進に重要であることが示唆された。またこの反応系にE1、ユビキチン、ATPを加え、リアルタイムでのユビキチン鎖伸長反応についても観察を試みた。E2とssDNAの観察同様にタンパク質複合体がssDNA上に形成されている様子は観察できたが、伸長したユビキチン鎖の鮮明な像をとらえることはできなかった。しかし線状の動きの早い像が時折観察できており、これがユビキチン鎖である可能性が高いと思われる。溶液中の観察のため動きが非常に早く、今後は分子運動を抑える条件での観察や固定の条件等も検討する必要があるだろう。以上のようにin vitroでの結合解析は順調に進んでおり、今回得られたAFMでの知見は、反応モデルを考える上で大変重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標の一つであった「反応メカニズムの解明」に大きく近づく解析結果を得ることができた。直接AFMでリアルタイム観察することで、反応促進に分子間結合が大きく関わっていることが考えられる。これをもとに、分子間結合に必要なアミノ酸残基を同定し変異体を解析することも可能であり、ユビキチン鎖伸長反応の分子メカニズムを理解するための大きなヒントが得られると期待される。生物学的意義を解析する際にも役立つであろう。
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今後の研究の推進方策 |
高速AFMを用いた観察が順調であり、今後も引き続き観察条件の検討を続けることでより鮮明な像を得ることが可能と考えられる。一方でin vivoの解析も並行して今後は積極的に進めていきたい。これまでにいくつかのE2変異体候補がin vitroから見つかっており、これらをin vivoで解析することで「核酸で促進されるユビキチン鎖伸長反応」の生物学的意義の理解につながると期待できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者である東京工業大学松崎先生の学内異動および東工大スパコンTSUBAME2.5から3.0へのシステム移行期間もあり、予定していた解析計画を変更し、スパコンを用いない方法での結合予測解析を行った。そのため分担していた10万円が未執行となっている。この10万円はそのままH30年度に引き継ぎ、当初予定していたスパコン解析に使用予定である。
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