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2019 年度 実績報告書

味覚受容体の卵形成・初期発生への関与:一卵性の双子が生まれる分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K19354
研究機関岡山大学

研究代表者

山下 敦子  岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (10321738)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2020-03-31
キーワード味覚受容体
研究実績の概要

発生時に異常が見られた表現型の再現実験として、CRISPR/Cas9法で味覚受容体遺伝子遺伝子編集を行ったメダカを交配し、フレームシフト変異による味覚受容体ホモノックアウトメダカ系統の作製を試みた。しかし、ヘテロ接合型で変異を持つメダカ同士の交配によって得られたメダカのジェノタイピングを実施したが、解析した限りにおいて、ホモ接合型で変異が導入された個体は見られなかった。このことから、ホモ接合型変異を持つ個体は、受精・孵化あるいはジェノタイピングを実施した3~4ヶ月齢までのいずれかの段階で死亡している可能性が示唆された。一方、ヘテロ接合型で変異を持つ個体については、発生やその後の成育および成育後の個体の行動などに、顕著な表現型は確認できなかった。
そこで、発生時に異常がみられた受精卵を産んだメスメダカで確認された変異味覚受容体では、どの程度受容体機能が残存していたかを確認するため、当該メダカに導入された変異と同一の変異を導入した味覚受容体を組換え発現し、細胞外リガンド結合領域(LBD)の構造形成能、全長受容体の膜移行能、および味物質応答能を確認した。その結果、当該メダカで観察された変異のうち、翻訳停止変異体は、LBDの折りたたみ不全が起こっており、全長受容体が膜移行しないことが明らかとなった。一方、インフレーム変異体では、LBDの折りたたみ不全が起こっており、全長受容体は膜移行するものの、リガンド応答能が大きく減弱していることが明らかとなった。以上の結果から、当該メダカにおいて味覚受容体機能が大幅に減弱していたことにより、当該メダカが産卵した受精卵の発生時に異常が起こった可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Differential scanning fluorimetric analysis of the amino-acid binding to taste receptor using a model receptor protein, the ligand-binding domain of fish T1r2a/T1r32019

    • 著者名/発表者名
      Yoshida T, Yasui N, Kusakabe Y, Ito C, Akamatsu M, Yamashita A
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 14 ページ: e0218909

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0218909

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 食品成分と生体のインターフェース・味覚受容体による味物質認識の構造基盤2019

    • 著者名/発表者名
      山下敦子
    • 学会等名
      日本生化学会北陸支部第37回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] A fish taste receptor opened the way for structural biology of taste perception2019

    • 著者名/発表者名
      Atsuko Yamashita
    • 学会等名
      The 18th International Symposium on Molecular and Neural Mechanisms of Taste and Olfactory Perception
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 味覚受容体T1R2/T1R3リガンド結合領域カチオン結合部位の構造生物学的解析2019

    • 著者名/発表者名
      伊藤千晶、安井典久、渥美菜奈子、山下敦子
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] T1r1-T1r3味覚受容体味物質認識領域の構造生物学的解析2019

    • 著者名/発表者名
      吉田高志、安井典久、伊藤 千晶、山下敦子
    • 学会等名
      新学術領域研究(研究領域提案型)「化学コミュニケーションのフロンティア」第5回公開シンポジウム
  • [学会発表] 味覚受容体T1rへの1価カチオン結合の構造生物学的解析2019

    • 著者名/発表者名
      伊藤千晶、高科百合子、安井典久、山下敦子
    • 学会等名
      新学術領域研究(研究領域提案型)「化学コミュニケーションのフロンティア」第6回公開シンポジウム

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公開日: 2021-01-27  

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