研究課題/領域番号 |
17K19357
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
星野 真一 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 教授 (40219168)
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研究分担者 |
細田 直 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 講師 (40438198)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | iPS細胞の作製 / ゲノム編集 / 人工mRNA |
研究実績の概要 |
我々は、これまでに人工mRNA医薬安定化技術の開発を目的として、細胞内における人工mRNA分解機構の全容を解明した。また、同定した人工mRNA分解因子OAS3に対する阻害剤のスクリーニングを行い、ヒット化合物を得その構造最適化を行うことで、人工mRNAをほぼ完全に安定化する化合物H-13の取得に成功した。本研究においては、mRNA医薬の臨床応用例としてiPS 細胞の作製を取り上げ、この人工mRNA安定化剤の有効性の検証実験を行なった。その結果、iPS細胞の作製には山中4因子に対する人工mRNAを約1週間に渡って毎日トランスフェクションを行う必要があり、その際人工mRNA安定化剤(OAS3阻害剤H-13)を連続投与し続けることによる細胞毒性によって実験実施に困難を極めた。そこで、現在のOAS3阻害剤H-13についてはさらに構造最適化を継続することとし、人工mRNAの投与回数1回のみで実施可能なCrispr/Cas9によるゲノム編集実験をiPS細胞の作製に代る検証実験として実施した。Crispr/Cas9システムを用いて目的遺伝子(Dom34遺伝子)にFLAGタグを挿入する実験を人工Cas9 mRNAを用いて実施したところ、Cas9をプラスミドで発現させたポジティブコントロールではFLAG抗体によるDom34タンパク質の検出が観察できたのに対し、人工Cas9 mRNAでは検出限界以下であった。その一方で、OAS3阻害剤存在下においてはDom34タンパク質の検出が可能となった。ただし、Cas9プラスミドを用いたポジティブコントロールとの比較ではシグナルが弱いことから、引き続き阻害剤の最適化は必須であると判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
引き続き阻害剤の構造最適化は必要であるが、弱いながらその有効性は検証することができた。
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今後の研究の推進方策 |
阻害剤の構造最適化を実施しつつ、当初の研究計画であるiPS細胞の作製効率化および、今回代替え実験として実施したCrispr/Cas9によるゲノム編集の効率化の二つの指標を用いて阻害剤有効性の検証実験を行なっていく。
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