研究実績の概要 |
本研究は、mRNA医薬として用いる人工mRNAの安定化技術をiPS細胞の作製やゲノム編集に応用することを目的としている。これまで細胞内における人工mRNA分解機構の全容を解明し(Nogimori et al., Nucleic Acids Research 2019)、同定した人工mRNA分解因子OAS3に対する阻害剤を単離することに成功した。本研究では、人工mRNAの分解に関わる因子として同定したRNaseLに対する阻害剤についても検討し、クルクミンが人工mRNAの安定化に有効であることを見出した。さらに第一三共化合物ライブラリーのスクリーニングも実施し、RNaseLを阻害する化合物を新たに単離することに成功した。人工mRNAを細胞内において安定化する化合物を用いてiPS細胞の作製、Crispr-Cas9によるゲノム編集による検証実験を継続した。人工Cas9 mRNAを用いたゲノム編集では、OAS3阻害剤存在下におけるゲノム編集効率の向上が観察されたものの、Cas9プラスミドとの比較ではシグナルが十分とは言えず、引き続き阻害剤の構造最適化を行なった。
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