研究課題/領域番号 |
17K19368
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
川辺 淳一 旭川医科大学, 医学部, 特任教授 (10400087)
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研究分担者 |
松永 行子 (津田行子) 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (00533663)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 体性幹細胞 / 毛細血管 / ペリサイト / 骨格筋 |
研究実績の概要 |
我々は、その毛細血管周細胞(PCs)の中から毛細血管幹細胞(CapSCs)を見出し、『CapSCsは、毛細血管細胞の構造細胞として未分化能が維持され、必要に応じ、組織実質細胞を供給再生して組織を自己修復する』という仮説を証明するために、①微小血管壁の局在でのCapSCsの幹細胞形質変化をリアルタイムに観察できるユニークな実験デバイスなどを利用して、末梢組織における体性幹細胞を維持するシステムを解明するとともに、②筋ジストルフィ動物モデルを利用して、組織内の幹細胞による自己修復能を付与するという組織再生(医療)の新しいコンセプトの妥当性を検証する。 目的1 CapSCsの幹細胞としての維持システムの解明 1-1 「組織導入したCapSCsが、組織の微小血管に局在し、幹細胞機能が維持されてる」ことを証明するために、CardiotoxinによるSCIDマウスの障害腓腹筋へ蛍光発光CapSCsを導入し、骨格筋組織の再生や導入細胞の組織内局在、特に微小血管周細胞として存在する細胞を再分離して、同細胞の多分化能などの細胞機能解析を行った。1-2 「CapSCsが、血管内皮周囲に局在することにより幹細胞機能が保たれる」ことを証明するために、ECsチューブとCapSCsとの共培養からなる微小血管チューブデバイスを作成することに成功した。 目的2「持続的な骨格筋破壊を起こす筋ジストルフィ発症マウスを用いて、CapSCsを組織導入すると、持続して導入細胞由来の骨格筋を再生させ、その割合が病態経過と共に増加すること」を証明するために、自然発症筋ジストルフィ (mdx mouse)を作製し、同マウスの病態解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的1 CapSCsの幹細胞としての維持システムの解明 1-1毛細血管における幹細胞ニッチの証明 作業仮設「組織導入したCapSCsが、組織の微小血管に局在し、幹細胞機能が維持されてる」ことを証明するために、CardiotoxinによるSCIDマウスの障害腓腹筋へ蛍光発光CapSCsを導入し、骨格筋組織の再生や導入細胞の組織内局在を明らかにした。 また、微小血管周細胞として存在する細胞をFACSにより再分離して、多分化能などの細胞機能解析を行っている。 1-2 微小血管チューブシステムにおける幹細胞機能維持の再現 作業仮設「CapSCsが、血管内皮周囲に局在することにより幹細胞機能が保たれる」ことを証明するために、ECsチューブとCapSCsとの共培養からなる微小血管チューブデバイスを作成することに成功している。 目的2「持続的な骨格筋破壊を起こす筋ジストルフィ発症マウスを用いて、CapSCsを組織導入すると、持続して導入細胞由来の骨格筋を再生させ、その割合が病態経過と共に増加すること」を証明するために、自然発症筋ジストルフィ (mdx mouse)の病態解析を行ってきた。
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今後の研究の推進方策 |
目的1 CapSCsの幹細胞としての維持システムの解明 1-1毛細血管における幹細胞ニッチの証明 CardiotoxinによるSCIDマウスの障害腓腹筋へ蛍光発光CapSCsを導入実験について追試験を行う。 また、移植した細胞を再分離した細胞について、in vitroでの細胞機能解析に加えて、挫滅筋への再導入実験も今後進めていく。 1-2 微小血管チューブシステムにおける幹細胞機能維持の再現 ECsチューブとCapSCsとの共培養からなる微小血管チューブデバイスを用いて、CapSCの幹細胞維持の視覚的マーカーとして、 いくつかの候補から最適なものを選定して、遺伝子発現=蛍光発光細胞を調整していく。 1-3 幹細胞維持のメカニズム解析 次年度以降で、1-2システムができあがれば、単一細胞から遺伝子発現の網羅解析法の開発を目指していく。 目的2「持続的な骨格筋破壊を起こす筋ジストルフィ発症マウスを用いて、CapSCsを組織導入すると、持続して導入細胞由来の骨格筋を再生させ、その割合が病態経過と共に増加すること」を証明するために、自然発症筋ジストルフィ (mdx mouse)を作製して利用していくが、同時に、本実験検証を明確に示せるために、より重症の筋ジストルフィン病態を誘導できるutrophin KOマウスとの掛け合わせマウスを作製していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
筋ジストルフィンマウスの繁殖・飼育状況がわるく、同マウスを利用した実験数が当初予定していたものより低かった。 現在、繁殖個体を増やし、次年度に実験に支障なく進むようにしている。
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