ヒト、キリン、線虫、ショウジョウバエのKIF1A遺伝子を大腸菌で発現し、精製した。マウスKIF1Aは単量体であると報告されている。一方でキネシンは単量体よりも2量体を形成する方が効率よく運動できるという実験結果が報告されている。単量体か2量体かは速度の違いを生み出す鍵となる可能性がある。そこで、精製後のKIF1Aをゲル濾過を用いて解析した。すべての種由来のKIF1Aは同じような挙動をし、その見かけ上の分子量は単量体と一致することがわかった。ゲル濾過による見かけ上の分子量はタンパク質の状態や形状に影響を受けるため必ずしも実際の値とは一致しない。多角光散乱(MALS)は、基本的な物理方程式から溶液中の分析物の分子量を決定することができる手法である。ゲル濾過とMALSを組み合わせて使用するSEC-MALSを用いて解析をすると、タンパク質の分子量を決定することができる。この方法を用いて定量解析すると、キリンおよびショウジョウバエのKIF1Aは2量体であることがわかった。線虫由来のKIF1Aについては引き続き解析中である。 全反射蛍光顕微鏡法を用いた1分子計測によってキリンKIF1Aの速度を定量すると、平均で毎秒1.5マイクロメートル程で動くことがわかった。これは私たちが発表したヒトKIF1Aの1.5倍程度の速度である。このことからキリンの長い軸索では軸索輸送が速くなっていることが予想される。
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