研究課題/領域番号 |
17K19375
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐々木 純子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30333371)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 性分化 / 細胞内シグナル伝達 |
研究実績の概要 |
哺乳動物の性分化は、性的に未分化な胎児性腺の支持細胞が、Y染色体上の精巣決定遺伝子Sryの発現により雄型のセルトリ細胞に、無い場合は雌型の顆粒膜細胞へと分化することで開始される。発生過程で決定した支持細胞の性は、出生後もそのまま安定して発現するわけではなく、雄に維持されなければ雌になり、雌に維持されなければ雄になるという、2つのいずれかの性を担保する支持細胞自律的な機構が備わっていると考えられている。しかしながら申請者が作出した組織特異的遺伝子改変マウスは、顆粒膜細胞以外の細胞もしくは一部の顆粒膜細胞でのみ遺伝子欠損されている可能性が高いにもかかわらず、卵胞の顆粒膜細胞層にセルトリ様細胞が出現するという興味深い知見を得ている。この申請者独自のリソースを用いて、本研究では、卵巣の性を制御する新たな細胞を見出す。 全身性にGFPを発現する遺伝子欠損マウスを作製し、低用量のX線照射や薬剤投与による骨髄キメラマウスの作製を行った。さらに卵巣移植による解析を行い、顆粒膜細胞層におけるセルトリ様細胞の出現有無について検討した。その結果、Creリコンビナーゼ発現細胞はセルトリ様細胞を卵巣で出現させるエフェクター細胞として機能するのではなく、自身がセルトリ様細胞になると考えられた。そこでレポーターマウスを用いてCreリコンビナーゼ発現細胞の特定を行ったところ、顆粒膜細胞層に一過性にCreリコンビナーゼ発現細胞が出現することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初の計画通り、Creリコンビナーゼ発現細胞自身がセルトリ様細胞になるのか、あるいはセルトリ様細胞を卵巣で出現させるエフェクター細胞として機能するのかについて明らかにすることができた。順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の解析により見出されたCreリコンビナーゼ発現細胞の発現時期と卵巣における局在を解析し、そこから類推される細胞のマーカー分子の免疫染色を行うことで、Creリコンビナーゼ発現細胞の性質を明らかにする。そしてセルソーターを用いてCreリコンビナーゼ発現細胞を単離し、性状解析を行う。さらに不死化培養細胞の作製を試み、性維持機構の分子機構解明を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は複数の遺伝子改変マウスを使用するため、研究補助員の雇用を予定していたが、適任者の応募が得られず雇用できなかった。さらに本年度予定していた動物実験が円滑に進展したことから、予想以上に物品費を節約することができた。次年度に繰り越した研究費は、Creリコンビナーゼ発現細胞の性状解析のための受託解析(RNAシークエンスなど)に使用予定である。
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