研究課題/領域番号 |
17K19390
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 有己 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (00547870)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 細胞由来小胞 / エキソソーム / ルシフェラーゼ |
研究実績の概要 |
細胞が分泌する細胞外小胞(extracellular vesicle; EV)は、その産生細胞に由来するタンパク質・核酸・脂質等の分子を内包している。EVが内包するmicro RNA(miRNA)がその取込み細胞に送達されることが明らかとされて以降、その生理機能の解明を目的とした検討が行われ、EVが介する細胞間情報伝達が癌の転移・浸潤、免疫応答や炎症反応、アルツハイマー病などさまざまな局面において重要な役割を果たしうる可能性が示されている。 本研究では、血中での滞留性を評価項目として高い血中滞留性を示すEVの画分の探索・同定を行う。さらに、同定した高い血中滞留性を示すEVについて、その構成物・内包物を明らかとするとともに、その体内動態と細胞に与える影響を評価することでその機能の解明を目指す。 本年度は、申請者がこれまでに開発した発光性レポータータンパク質、Gaussiaルシフェラーゼとホスファチジルセリン新すぁせいタンパク質Lactadherinの融合タンパク質gLuc-LAを利用したEV標識法を用いて、血中滞留性の高いEV画分の探索を行った。種々の方法で、細胞の培養上清を回収し、密度、サイズ、分子量を指標に分画し、各フラクションを回収し、ルシフェラーゼ活性を指標に各画分に含まれるEVを評価した。また、回収した核EV画分を、マウスに静脈内投与した後、血中ルシフェラーゼ活性を経時的に測定することでその血中濃度推移を解析し、各EV画分の血中滞留性を評価した。その結果、高い血中滞留性を示すEV画分の回収に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、血中滞留性の高いEV画分の分画法を見出すに至ったことから、研究は順調に進捗していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、見出した血中滞留性の高いEV画分について、その詳細を明らかとするためにまずはその物性について評価した後、脂質・タンパク質等の内包物を評価する。併せて、その体内動態特性についても評価し、その機能の解明を目指して検討を行う。
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