研究実績の概要 |
9.研究実績の概要 ニワトリ胚の四肢(肢芽)の再生に挑戦する。これまでの研究で、有尾両生類(イモリ・メキシコサラマンダー)において四肢と言う「器官」の再生反応を誘導する遺伝子(再生誘導物質)の特定に成功した(Makanae et al., Dev. Biol. 2013, 2014)。この再生誘導物質(FGF2+FGF8+BMP7)は、複数の動物種と器官において再生を誘導できることも判明した(Makanae et al., Dev. Biol. 2014, 2016, Satoh et al., 2015, Regeneration)。この両生類研究で明らかにした再生誘導因子をニワトリ胚に応用し、ニワトリ胚における再生反応を誘導する試みを提案する。予備的実験結果において、同定した再生誘導因子(FGF+BMP)はニワトリ胚においても損傷・切断部において何らかの構造を誘導できることがわかった。この得られた再生体がどのような意味を持つのかを分子マーカーで評価する。得られた情報を有尾両生類の再生時における発現パターンと比較することによって、哺乳類を含む恒温動物における四肢再生反応誘導への基盤的知見を得ることを目的にする。本年度特に進展した研究内容は、申請書の研究項目2で、「ニワトリ肢芽におけるインターカレーション反応の誘導」に関する項目である。ニワトリの肢芽をおよそ3等分にし中抜きの状況にすると、通常状態では抜かれた中間部構造を決して再生されない。ここにFGF2+8を与えることで中間部構造の再生芽誘導できることを証明した。また、このプロセスにおける遺伝子発現の変遷や細胞系譜を描くことで論文としてまとめ報告した。その他項目についても鋭意解析中であり、予想以上の進展を見せていると言える状況にある。
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