研究課題/領域番号 |
17K19401
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
村山 依子 (井上依子) 早稲田大学, 理工学術院, 日本学術振興会特別研究員 (70750925)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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キーワード | 細胞周期 |
研究実績の概要 |
本研究は、環境温度を下げると細胞分裂が起こらなくなる現象に着目している。「分裂が起こらない=リズムがなくなる」現象の理解には、非線形動力学の分野で知られている分岐理論が有効である。分岐理論を利用して振動子の性質をあぶり出すアプローチはシアノバクテリア概日リズムの低温停止現象の研究で実績があり、本研究でも細胞周期制御系の振動子としてのマクロな性質を明らかにできると考えている。 アフリカツメガエルの受精卵を18℃から6℃まで冷やした実験から、低温にするほど卵割周期がのびることがわかっており、低温環境下で細胞周期のリズムはSaddle-node on an invariant circle(SNIC)分岐のシナリオで消失することが示唆されている。しかしより詳細に特性を調べるためにはリズムの周期だけでなく振幅や波形に関する情報が必要であり、細胞周期の進行をモニターするためのレポーターシステムの導入を進めてきた。アフリカツメガエル卵の細胞周期研究で使われているレポーターはいくつかあり、先行研究を参考に準備をしてきたが、観察に使用する予定であった機器が故障する事態に見舞われ測定に至らなかった。また、細胞周期関連因子の量やリン酸化レベルのリズムの検出も行ったが、アフリカツメガエル卵を遠心分離して得られるサイクリング抽出液のリズムが観察できる時とできない時があり、予想より多くの実験が必要となった。そこで研究期間をさらに1年延長することにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行により、本年度は研究室への立ち入り制限や子供の通う保育所の休園などの事態に直面し、研究活動に様々な困難を感じた1年だった。また測定機器の故障にも見舞われ、想定していたよりも計画が進まなかったため、研究期間を1年延長した。
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今後の研究の推進方策 |
レポーターを使って細胞周期の進行をモニターすることは、細胞周期をリズムとして解析するための重要なポイントであると考えている。機器を購入して測定を行い、温度に対する特性など目的の機能を持つか確認し、当初の計画に沿った研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画を行うために必要な機器が故障し、修理できないことがわかった。新たな機器の購入を検討しており、そのための予算を残している。
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