研究課題
再生医療を目指した細胞からの三次元組織構築法の研究が著しい発展を遂げているが、血圧に耐える強度を求められる血管組織ではその開発は極めて遅れている。研究代表者は先行研究で、生理的範囲を超える極めて高い圧力を負荷すると、ラット平滑筋細胞では細胞同士が接着して弾性線維などの細胞外基質を多く産生し、強固な血管様組織ができることを見出した。本研究では、ヒト血管平滑筋細胞を用いて通常生体内で経験しないレベルの高圧力を感受する機序を解明し、大気圧環境下では十分に引き出せなかった細胞の能力を最大限に利用することで、最終的には移植可能な弾性・剛性を有する三次元組織を短期間で構築する方法を開発することを目的とした。ヒト平滑筋細胞で加圧下では10層の強度あるシートを作製し、応力ひずみ曲線を求めてその再現性を確認した。一方で、大気圧下で積層をおこなっても4層を超えるシートを再現良く作製することができないことを確認した。ヒト平滑筋細胞シートをヌードラットへパッチとして移植して5か月までの組織を解析したところ、2か月ほどでシート由来の平滑筋細胞は消失し、内在性の平滑筋細胞に置き換わることが分かった。血管シートの内腔側は内在性の内皮細胞で被覆されるが、これは移植後早期に完成されており、移植実験において血栓症は発生しなかった。これらの結果より、加圧印加培養を行うことで細胞のみから移植に耐えられる血管シートが作製できる可能性が示唆された。
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