研究実績の概要 |
赤痢アメーバから発見されたEntamoeba属に特異的な新規マイトソーム膜貫通型タンパク質ETMP1の機能解析を行い、以下の知見を得た。N末端HA標識付加したETMP1発現形質転換体から180 kDaの複合体を形成するタンパク質であるEps15 homology-domain (EHD)を有するタンパク質EHD1とEHD2の機能を詳細に明らかにするために、テトラサイクリン誘導下でGFP-EHD1を発現する形質転換体を作成しライブイメージングによる観察を行った。6時間の誘導ではエンドソーム膜に局在した、18時間以上の誘導ではmembrane contact siteとmultivesicular bodyの間に強い集積が観察された。GFP-EHD1の発現は液性マーカーであるdextranや 受容体依存的に取り込まれるマーカーであるtransferrinに影響を与えず、これらのマーカーを含むまたは含まない様々なサイズの小胞の間に蓄積が確認された。また、細胞膜家のtransferrinの集積の近傍にGFP-EHD1が高濃度で集積していたことから、細胞膜やその受容体のリサイクリングに関与している可能性が示唆された。一方、GFP-EHD2は細胞質中に小さな点やGFP-EHD1 が集積するのよりcサイズの小さな小胞上に観察され、EHD1とは異なる機能が示唆された。組換えHis-EHD1とリポソームを用いてMembrane tubulation assayを行ったところ、phosphatidylinositol-4,5-diphosphateが必要なこと、EHD1によるATP加水分解はtubulationにではなく、膜からのscissionに必要であることが示された。
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