海馬CA2野は海馬亜領域の中でも異質である。近年、その独特な空間表象や社会記憶に果たす機能が明らかになりつつあるが、長い間注目されなかった領域ゆえに局所回路はほとんど未解明である。特に、錐体細胞が互いに結合しあう興奮性再帰回路がCA2野に存在するのかについては物議を醸している。私たちは、複数のCA2錐体細胞で同時ホールセルパッチクランプ記録を行い、CA2からCA2への興奮性シナプス結合を測定した。測定した数例でシナプス結合が観測され、CA2領域に再帰回路が存在することを示した。また、見つかったCA2再帰回路はCA3付近の浅層に限局していた。
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