研究課題
本研究の目的は、生体内に存在して機能するタンパク質分子を正確に検出する方法を開発し、その手法を神経系で機能する分子群に応用することである。このために、抗体に代わる低分子量のケミカルプローブとそれを認識するペプチドタグを組み合わせた系を採用する。ペプチドタグは、標的分子の機能に影響しないと予想される部位を構造生物学的知見から想定し挿入する。なお、タグの挿入は、遺伝子編集法でマウス胚に直接組み入れ、迅速に解析対象の動物を作出する技術を整備する。このために、迅速なタグノックインマウス樹立法を進めてきた。即ち、C57BL/6系統のマウスを用いて、200ベース以下の1本鎖DNAとCas9タンパク質/gRNA複合体を授精直後の胚に電気穿孔法で導入して、組換え産子を得る。受精卵の採取後に電気泳動チャンバーを利用する方法と、卵管内に存在する胚に対して卵管内に直接CRISPR複合体を注入して電気泳動的導入する方法のいずれでも、標的の分子に目的のタグ配列をノックインしたマウスを作出することができた。それぞれ長短があり、一度に多くの産子を得たいときには、大量の受精卵を処理できる泳動チャンバーを利用する方が良いが、レシピエントを準備して胚移植する手間がかかる。一方、卵管内導入法は、移植の手間は不要であるが、生まれる産子数が少なく、帝王切開による産子取得の手間がかかることが多い。多くの産子を得て、迅速な解析をする場合は前者が、ライン化して解析する場合は後者が良い。なお、NMDA型グルタミン酸受容体のサブユニット構造を電子顕微鏡で可視化するプロジェクトに関しては、九州大学の王子田教授グループが開発した金粒子ラベルしたプローブが共有結合する20アミノ酸残基からなるhD2タグをGluN1分子にノックインしたマウスを樹立し、現在オーストリアの重本教授が形態学的な解析を進めている。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
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