研究課題/領域番号 |
17K19451
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
日置 寛之 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00402850)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 神経科学 / 神経回路網 / アデノ随伴ウイルス / キャプシド / 特異的感染 |
研究実績の概要 |
AAVについては、様々な血清型(serotype)が現在までに報告されている。その中でも 2型(AAV2)の研究が最も進んでおり、多くの分野でウイルスベクターとして利用されてきた。野生型AAVのゲノムは、ITR(inverted terminal repeat)・Rep(replication protein)・Cap(capsid protein)からなる。ゲノム上からRep・Cap遺伝子を取り除き、そこへ任意の配列を挿入することで組換えAAVを得る。 ウイルス粒子を作成する際、ゲノムから取り除いたRep・Cap遺伝子を、別のプラスミドから補充することが必要である。この際、異なる血清型のCap遺伝子を補充する技術が確立されている。例えば1型のCap遺伝子を補充することで、ゲノム構造は2型でキャプシド構造は1型というハイブリッドウイルスベクター粒子(AAV2/1)を作成することができる。本研究課題では、感染成立に関する詳細な解析がなされている「2型のCap遺伝子」に対し、遺伝子改変操作を行う(pAAV2-RepCap)。平成30年度は、 1)非特異的感染性の除去:ウイルス粒子表面から外に突き出しているspikeのアミノ酸を置換し、感染能の除去を平成29年度に行った。in vitroで検証実験を行ったところ、感染性は10^2~3程度減少することが分かった。in vivoで検証したところ、感染性は減少したものの、実験条件によってはさらに感染能の除去を進める必要があると考えられた。 3) 新規感染性の付与:予備実験として、特定の神経細胞種に感染するウイルス粒子の作製を行った。現時点では特異的感染に成功しておらず、今後はウイルスの濃度を高める、非特異的感染性をさらに除去する、新規感染性の付与について別の方法を試すなど、様々なアプローチから解決を図る必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に大きな問題も生じず、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1) 非特異的感染性の除去 感染に関するアミノ酸配列について、その周囲の配列にも変異を入れる。その後も非特異的感染性が認められる場合は、random mutationを入れてスクリーニングすることも視野に入れる。 2) 新規感染性の付与 標的とする細胞への導入効率を高める目的で、ウイルス濃度をさらに高めることや、非特異的感染性をさらに除去することを行う。また、新規感染性の付与について、新たなアプローチを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:in vivo検証について、少ない個体数でじっくり解析を行ったため、作製ウイルス量と実験動物の数が、見込みよりも若干少なくなった。 使用計画:ウイルス作製量が増えることが見込まれ、また効率的にin vitroおよびin vivo assayを進めていく。
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