研究課題
AAVについては、様々な血清型(serotype)が現在までに報告されている。その中でも 2型(AAV2)の研究が最も進んでおり、多くの分野でウイルスベクターとして利用されてきた。野生型AAVのゲノムは、ITR(inverted terminal repeat)・Rep(replication protein)・Cap(capsid protein)からなる。ゲノム上からRep・Cap遺伝子を取り除き、そこへ任意の配列を挿入することで組換えAAVを得る。ウイルス粒子を作成する際、ゲノムから取り除いたRep・Cap遺伝子を、別のプラスミドから補充することが必要である。この際、異なる血清型のCap遺伝子を補充する技術が確立されている。例えば1型のCap遺伝子を補充することで、ゲノム構造は2型でキャプシド構造は1型というハイブリッドウイルスベクター粒子(AAV2/1)を作成することができる。本研究課題では、感染成立に関する詳細な解析がなされている「2型のCap遺伝子」に対し、遺伝子改変操作を行う(pAAV2-RepCap)。令和元年度の研究実績は以下の通りである。1)非特異的感染性の除去:ウイルス粒子表面から外に突き出しているspikeのアミノ酸を置換することで感染能を除去する技術開発を平成29~30年度に行い、感染性が10^2~3程度減少させることに成功した。令和元年度はマウス生体脳で、感染性の検証を進めた。力価が高いウイルス溶液を用いた場合、神経細胞への感染が確認されたため、さらなる置換・変異を導入することが必要である。2)新規感染性の付与:キャプシド改変について新たな手法を用い、マウス生体脳で検証を進めたが、非特異感染が頻繁に認められた。まずは、上記 (1) の感染能の除去を確実に遂行することが必要であることが分かった。感染能を持たないウイルス粒子を作製する、新たな技術開発をさらに検討している。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 6件) 備考 (1件) 産業財産権 (2件)
genesis
巻: 58 ページ: e23341
10.1002/dvg.23341
Juntendo Medical Journal
巻: 65 ページ: 554~560
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https://juntendo-cellbio.jp