研究課題
本研究では、ヒトに近縁なモデル動物であるサル類(マカクザル、マーモセット)において、全脳レベルでのニューロンへの外来遺伝子導入を実現するような新規ウイルスベクターを開発し、それを利用して特に神経疾患にフォーカスした遺伝子改変霊長類モデルを作出することを目的としている。研究代表者らは、これまでの研究により、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの2型と9型のモザイクキャプシドを利用した改変AAVベクターが、従来のAAV 9型と異なり、マカクザル新生児やマーモセットへの静脈内投与により全脳的なニューロンへの遺伝子導入が可能であることを見出している。当該ベクターは、小脳皮質や視床においてニューロンへの極めて高い導入効率(50%以上)を示すのに対して、大脳皮質や線条体ではニューロン特異性は高いものの導入効率が10%程度であり、未だ改善の余地がある。そのため、モザイクキャプシドの組み合わせの検討やキャプシド蛋白のアミノ酸の追加・置換など、更なるキャプシド改変を加えたAAVベクターを作製し、全脳かつ全ニューロンレベルでの遺伝子導入に適したパラメータを探索することによって、より高い導入効率を示す新規ベクターの開発に成功した。また、血液脳関門(BBB)が閉鎖する幼弱期以降ではAAVベクターの脳内移行率が新生児期よりも低下するため、幼弱期や成体期での遺伝子導入に適したキャプシド改変を試みるとともに、マイクロバブルを用いた経頭蓋集束超音波照射によるBBBの一過性開放技術(ソニケーション法)を導入してベクターのBBB通過率を向上させる開発研究を進めている。併せて、当該ウイルスベクターを利用し、神経疾患にフォーカスした遺伝子改変霊長類モデル、特に著名な大脳基底核疾患であるジストニアモデルの作出に着手した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (29件) (うち国際学会 9件) 備考 (1件)
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