研究課題/領域番号 |
17K19455
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小野 正博 京都大学, 薬学研究科, 教授 (80336180)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | アミロイド / オリゴマー / イメージング |
研究実績の概要 |
高齢化人口の増加に伴う、アルツハイマー病(AD)患者の急増は、世界的な問題であり、その克服は喫緊の課題である。AD脳内における特徴的な病理像として、βアミロイドタンパク質(Aβ)を主成分とする老人斑とタウタンパク質を主成分とする神経原線維変化が知られている。これら病理像の中でも、老人斑の沈着はAD発症過程も最も初期段階から生じることから、Aβを標的としたPETトレーサーの開発がこれまで活発に行われてきた。これらAβトレーサーを用いた多数の臨床研究の結果から、Aβの蓄積が認められるが、同時に、ADを発症しない、擬陽性群の存在が明らかとなってきた。この原因として、従来のAβ用PETトレーサーで検出されるAβは、凝集度が高く、神経毒性の低い典型老人斑であることが考えられる。一方、神経細胞に対する毒性の最も高いAβ凝集体は、凝集度の低い、Aβオリゴマーであることが報告されている。したがって、Aβオリゴマーを特異的に検出できるPETトレーサーが開発できれば、現在のAβ用PETトレーサーで問題となっている、擬陽性の診断も改善され、高い精度でADのPET画像診断が可能になると考えられる。本研究では、Aβオリゴマーに結合性を持つPETトレーサーの候補化合物を分子設計・合成し、Aβ凝集体を用いたインビトロ結合実験、Aβ過剰発現マウスを用いたインビボ実験によって、Aβオリゴマー特異的PETトレーサーとしての有用性に関する評価を行い、Aβオリゴマー特異的結合性を有する新規PETトレーサーの開発を目標とする。今年度は、そのAβオリゴマーイメージングのための候補化合物の設計および合成を行うとともに、候補化合物のAβオリゴマーに対するインビトロ評価実験の予備検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オリゴマー結合性を評価する実験系の構築を進めるとともに、当初予定通りの候補化合物およびコントロール化合物の合成に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、オリゴマー結合性の評価系の構築を行うとともに、合成が完了した化合物から順次インビトロおよびインビボ評価実験へと展開して行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
候補化合物の合成および評価実験系の構築のために使用する試薬や消耗品が当初の予定より少なかったため未使用額が生じた。今後、候補化合物の合成のための試薬、インビトロおよびインビボでの生物系評価実験に使用する抗体や放射性同位元素などの購入に計上する予定である。
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