研究実績の概要 |
昨年より、ネットワーク構築の手法を改良した(抑制性細胞も含めた多細胞間の相互 作用ネットワークを構築して解析する)手法を開発してきた。その手法を用いて、多細胞間の相互作用ネットワ ークにおける新たな知見を得た。その研究は、bioRxivとして公開され、投稿中である[Kajiwara et al., 2019]。また2018年度に開発した3Dスキャンを用いたミクロ回路の全脳への埋め込み方法を活用して、脳の多領域からの体系的に計測部位を選び、計測を積み重ねて来た。そこから得られるミクロ回路の脳領域間での非一様 な違いが、今後、開発される数理モデルのリアリティを格段に高める事に寄与してゆく事が期待される。研究成果の学術的意義や社会的意義 脳は、100億のオーダーの数の神経細胞が繋がって出来ている。その細胞間のつながりは、単にランダムではな く、ある種の構造だった複雑性を有している。そして、脳領域間で、その特性は異なっている(非一様である)。 そして、その非一様さを体系的に計測する事は、国家的なビックプロジェクトではないと難しいと専門家でも思っている者も多い。そこを、多細胞の計測と分析手法を成熟させ、3Dスキャンを活用する新たな切り口で、現実 的に大目標を体系的に前進させている。この様な研究が、脳がもし疾患になるとどうなるのか、を予測した結果 を解釈したりする助けとなるリアリティを有した数理モデルにつながる確実な道の一つである。
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