研究課題
本研究は、大規模同時記録法を用いて、自由に行動する動物において単一細胞の入出力演算を網羅的に検出する方法を開発することを目指した。さらに、大規模同時記録により多数の神経細胞の発火活動を一斉に計測しながら光遺伝学的手法を援用して、自由に行動する動物の脳において、記録している神経細胞の出力先の脳領域を同定する新規技術を開発することを目標とした。本研究ではまず、最大256チャネルの多点電極シリコンプローブを用いて、自由に行動する動物から100個程度の神経細胞を同時記録できる技術を確立した。この技術を基盤として、シナプス前細胞からの入力がシナプス後細胞を発火させるという神経細胞の基本的な性質を利用して、細胞間のシナプス結合の有無を検出した。具体的には、同時記録している神経細胞の全ての組み合わせにつき相互相関解析を行うことによって、細胞間のシナプス結合を網羅的に同定する系を立ち上げた。この実験系をラットの海馬CA3と海馬台に適用できることを確かめた。さらに、大規模同時記録法に光遺伝学を組み合わせて、記録している多数の神経細胞を投射先によって分類する方法を開発した。具体的には、アデノ随伴ウイルスベクターを用いてラットの海馬台の神経細胞にチャネルロドプシン(ChR2)を発現させた。次に、最大256点の多点電極シリコンプローブを用いて、100個程度の海馬台の神経細胞の活動を一斉に計測しながら、海馬台の主要な投射先に挿入した光ファイバーを使って脳領域特異的に青色光で刺激した。ChR2を発現している神経細胞の軸索で生じたスパイクが短い潜時(<15ミリ秒)と小さなジター(<1ミリ秒)で逆行性に細胞体へ伝わることを指標にして、海馬台の神経細胞の投射先を同定する方法を確立することができた。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件) 図書 (2件) 備考 (1件)
Biochem Biophys Res Commun
巻: - ページ: -
10.1016/j.bbrc.2019.03.073.
J Neurosci
巻: 39 ページ: 866-875
10.1523/JNEUROSCI.1950-18.2018.
Neurosci Res
10.1016/j.neures.2018.08.002.
bioRxiv
巻: 334078 ページ: 1-14
https://doi.org/10.1101/334078
http://www.med.osaka-cu.ac.jp/physiology2/index.html