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2018 年度 実施状況報告書

tRNAニューロバイオロジーの創出

研究課題

研究課題/領域番号 17K19468
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

田中 元雅  国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (40321781)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2020-03-31
キーワード翻訳 / tRNA
研究実績の概要

神経細胞での新規なタンパク質合成は、神経機能や情動および記憶などの精神機能が関わる行動にも深く関与することが示唆されているが、その詳細にはいまだ不明な点が多い。平成30年度では、平成29年度に開発した新たなmRNAおよびtRNA塩基配列技術、およびバイオインフォマティクスのツールを用いて、神経細胞の翻訳状態の解析をリボソームに結合したmRNAだけでなくtRNAからも詳細に明らかにすることを目指した。
平成30年度では、生きたマウスを用いて、特異的にtRNAの遺伝子発現や実際の翻訳に使われているtRNAを調べるための様々な実験手法の開発を引き続き行った。また、tRNAの各種修飾や発現量を網羅的かつ、定量的に決定するためのバイオインフォマティクスのツールの改良をさらに進めた。これらの新規な手法を用いて、正常マウスおよび精神・神経変性疾患モデルなどのヒト疾患モデルマウスの翻訳解析を行った。その結果、性質が異なるtRNAを見出し、また、特徴的な翻訳のリズムを示す遺伝子の一群を、定量的な翻訳解析から見出した。さらには、翻訳のリズムに関わるような特徴的な均一性および不均一性を示す遺伝子の一群を見出した。それらの分子メカニズムを明らかにするために様々なデータ解析を進めたところ、遺伝子の本来持つ性質や遺伝子座などの特徴がそれらの翻訳リズムの性質に相関することを見出した。以上から、各遺伝子には、このような翻訳リズムの情報が潜在的に取り込まれていることを示唆した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新たな翻訳技術およびバイオインフォマティクスのツールを新規に開発、必要に応じて適宜改良を行うことで、神経細胞やマウス脳を用いたtRNAの翻訳解析を進めているため。

今後の研究の推進方策

H29年度およびH30年度に作成した実験系およびバイオインフォマティクスのツールを用いて、様々な条件前後でかつ神経細胞のコンパートメントでの翻訳解析や、生きたマウスを用いて行動に連結したmRNA/tRNA翻訳解析をさらに進める。さらには、mRNAコドンとtRNAアンチコドンが一致していないことに着目した翻訳解析を進める。

次年度使用額が生じた理由

今年度後半は様々な神経細胞およびマウス脳のサンプルからライブラリー作成をRNAが分解しないうちに行うことが得策と考えて先に行い、一部の配列解析を次年度に回したため、当初の予定ほどは配列解析を行わなかったため。また、次年度は、今年度に作成したライブラリーも含めて、多くの配列解析を行い、本研究を完了させる計画である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] ジョンズホプキンス大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      ジョンズホプキンス大学
  • [国際共同研究] ユニバーシティカレッジ・ロンドン(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      ユニバーシティカレッジ・ロンドン
  • [雑誌論文] TDP-43 and DISC1 Co-Aggregation Disrupts Dendritic Local Translation and Mental Function in FTLD.2018

    • 著者名/発表者名
      Endo, R., Takashima, N., Nekooki-Machida, Y., Komi, Y., Hui, K.K., Takao, M., Akatsu, H., Murayama, S., Sawa, A., and Tanaka, M.
    • 雑誌名

      Biol. Psychiatry

      巻: 84 ページ: 509-521

    • DOI

      10.1016/j.biopsych.2018.03.008

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] TDP-43 and DISC1 Co-Aggregation Disrupts Dendritic Local Translation and Mental Function in FTLD2018

    • 著者名/発表者名
      Motomasa Tanaka
    • 学会等名
      International Symposium on “Proteins; from the Cradle to the Grave”
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] タンパク質の共凝集化による精神障害の発現

    • URL

      http://www.riken.jp/pr/press/2018/20180614_1/

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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