研究課題
本研究は、がん細胞特異的遺伝子産物cancer-type organic anion transporting polypeptide 1B3 (Ct-OATP1B3) を標的とした転写リプログラミング核酸医薬の創成コンセプトの確立を目指している。当該年度は複数のがん種を用いた核酸医薬の効果検証、ナノ粒子のin vivoにおける遺伝子がん細胞送達能の検証、転写リプログラミング活性評価のためのレポーターの構築に取り組んだ。まず、前年度構築したCt-OATP1B3を標的とする核酸医薬を用い、Ct-OATP1B3陽性のヒト食道がん細胞およびヒトグリオーマ細胞を用いてその効果を検証したところ、いずれの細胞においても抗がん効果が認められた。一方、前年度構築したssPalmナノ粒子にレポーター遺伝子を封入し、それを大腸がん細胞担がんマウスのがん部に導入した。その結果、がん組織においてレポーター遺伝子の発現が認められた。また、転写リプログラミング活性を簡便に評価するためのレポーターシステムを構築した。以上、当該年度の研究により、Ct-OATP1B3標的核酸医薬は大腸がんのみならず広くCt-OATP1B3陽性がんに対して抗がん効果を発揮しうることが明らかとなった。さらに、ssPalmナノ粒子は、in vivoにおいてもがん細胞への高い遺伝子導入活性を有することが明らかとなった。今後、ssPalmナノ粒子にCt-OATP1B3標的核酸医薬を搭載し、担がんマウスを用いてその効果の検証を進めるとともに、構築した転写リプログラミング活性レポーターシステムを用いて核酸医薬の改良や効果向上因子を同定していく予定としている。
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Cancer Letters
巻: 433 ページ: 107-116
10.1016/j.canlet.2018.06.032