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2017 年度 実施状況報告書

中枢神経系高次機能に及ぼす食物由来オリゴ核酸化合物の新規生理活性

研究課題

研究課題/領域番号 17K19482
研究機関金沢大学

研究代表者

加藤 将夫  金沢大学, 薬学系, 教授 (30251440)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2020-03-31
キーワード核酸 / 神経新生 / 神経成熟 / 神経変性疾患 / 創薬
研究実績の概要

核酸化合物の添加による神経細胞の成熟、神経幹細胞の増殖および神経新生に及ぼす影響を明らかにするため、初年度はその実験系確立と全体像把握を試みた。一種類のヌクレオチドからなるトリヌクレオチド化合物とランダム合成によるトリヌクレオチド化合物の計5種類を合成した。マウス初代培養神経細胞に種々の濃度で添加し、シナプス形成のマーカーであるsynapsin Iと神経細胞のマーカーであるβIII tubulinおよびMAP2の発現量をwestern blotで、synapsin IとMAP2の局在を免疫染色でそれぞれ検討した。また、マウス初代培養神経幹細胞に種々の濃度で添加後の細胞増殖を細胞塊面積の測定とMTT assayにより、神経分化をβIII tubulinとグリア細胞のマーカーであるGFAPの免疫染色後、それぞれの細胞のpopulation比の測定により、それぞれ検討した。いずれにおいても核酸化合物による作用が見えつつあるものの次年度において再現性を確認する必要があると考えられた。一方で、実験系においてどの核酸化合物がどの程度存在するかを定量するため、塩基、ヌクレオシド、デオキシヌクレオシド、デオキシヌクレオチドの一斉分析系の確立を、LC-MS/MSを用いて試みた。種々の検討の結果、adenine、thymine、uracil、guanine、cytosine、adenosine、uridine、guanosine、cytidine、deoxyadenosine、thymidine、deoxyuridine、deoxyguanosine、deoxycytidine、dAMP、dTMP、dUMP、dGMP、dCMPを、二種類の分析方法を組み合わせることで一斉分析する系を確立し、実験に供することが可能となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マウス初代培養神経細胞に添加後の神経細胞の成熟と、マウス初代培養神経幹細胞に添加後の細胞増殖ならびに神経新生に及ぼす影響を定量的に解析する実験系を確立することができた上、いくつかの核酸化合物による影響を予備的に検討することができた。したがって、次年度はこの系を使って、濃度依存性や阻害剤による効果などを解明することが可能であり、研究期間内に成果の得られる可能性が極めて高くなった。さらに、ヌクレオチド化合物は分解しやすいことから、本研究においては、どの化合物が効果を示しているかを解明することが成功の鍵となる。本年度は、種々の塩基、ヌクレオシド、デオキシヌクレオシド、デオキシヌクレオチドなどの核酸化合物の一斉分析系を確立することができたため、次年度はこの系を使って、培地中の核酸の存在様式を定量的に明らかにすることが可能となり、どの化合物が作用しているかを推定することが容易になった。

今後の研究の推進方策

種々の濃度の核酸化合物をマウス初代培養神経細胞に添加後の神経成熟を、シナプス形成のマーカーであるsynapsin Iと神経細胞のマーカーであるβIII tubulinおよびMAP2の発現量をwestern blotで、synapsin IとMAP2の局在を免疫染色でそれぞれ検討することで、濃度依存性を明らかにする。種々の阻害剤を添加することで、神経成熟のメカニズムを明らかにする。トリヌクレオチドとモノヌクレオチドを同じ濃度で添加し、互いの効果の強さを比較しつつ、培地中の存在様式を、本年度に確立した一斉分系を用いて明らかにすることにより、どの化合物が作用本体であるかを明らかにする。同様に、種々の濃度の核酸化合物をマウス初代培養神経幹細胞に添加後の細胞増殖を細胞塊面積の測定とMTT assayにより、神経分化をβIII tubulinとグリア細胞のマーカーであるGFAPの免疫染色後、それぞれの細胞のpopulation比の測定により、それぞれ検討することで濃度依存性を明らかにする。種々の阻害剤を添加することで、神経成熟のメカニズムを明らかにする。トリヌクレオチドとモノヌクレオチドを同じ濃度で添加し、互いの効果の強さを比較しつつ、培地中の存在様式を、本年度に確立した一斉分系を用いて明らかにすることにより、どの化合物が作用本体であるかを明らかにする。以上の解析を、今年度に合成した5つの化合物で実施し、再現性が得られたのちに、残りの化合物を順次合成しつつ、同様な解析を行う。最も効果の強かった化合物については、マウスに経口投与ないし静脈内投与を行い、海馬における神経成熟をゴルジ染色で、神経新生をbromodeoxyuridineによるlabeling index測定により、それぞれ測定することで、in vivoにおける作用を解明する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Nakamichi Noritaka、Kato Yukio2017

    • 著者名/発表者名
      Physiological roles of carnitine/organic cation transporter OCTN1/SLC22A4 in neural cells
    • 雑誌名

      Biological and Pharmaceutical Bulletin

      巻: 40(8) ページ: 1146~1152

    • DOI

      10.1248/bpb.b17-00099

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Current Progress Toward a Better Understanding of Drug Disposition Within the Lungs: Summary Proceedings of the First Workshop on Drug Transporters in the Lungs2017

    • 著者名/発表者名
      Ehrhardt Carsten、B?ckman Per、Couet William、Edwards Chris、Forbes Ben、Frid?n Markus、Gumbleton Mark、Hosoya Ken-Ichi、Kato Yukio、Nakanishi Takeo、Takano Mikihisa、Terasaki Tetsuya、Yumoto Ryoko
    • 雑誌名

      Journal of Pharmaceutical Sciences

      巻: 106 ページ: 2234~2244

    • DOI

      10.1016/j.xphs.2017.04.011

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] モノ核酸関連化合物の網羅的定量による消化管吸収評価2017

    • 著者名/発表者名
      小池彩花、増尾友佑、中道範隆、加藤将夫
    • 学会等名
      日本薬学会北陸支部第129回例会

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公開日: 2018-12-17  

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