前年度に構築した組換えES細胞を用いて、マウスClaudin-5をヒト型に置換したヒトClaudin-5マウスの作製を行った。ES細胞のインジェクションにより得られたキメラマウスを野生型マウスと交配し、ジャームライントランスミッションを確認し、最終的に2ラインのヒトClaudin-5マウスの構築に成功した。得られたマウスに低分子蛍光色素を投与する実験から、マウスClaudin-5をヒト型に置き換えても正常な血液脳関門機能が維持されていることを確認した。 さらに、構築したヒトClaudin-5マウスを用いて抗体のin vivo血液脳関門制御活性を評価した。まず、ヒトClaudin-5マウスに抗体を投与後、低分子蛍光色素を投与し、脳血管から脳側への色素漏出の度合いを、脳切片を作製して解析した。その結果、Claudin-5抗体を高濃度で投与したマウスにおいて、脳血管外への色素の漏出がみられ、作製したClaudin-5抗体がin vivo血液脳関門制御活性を持つ可能性が示された。今後、抗体の作用時間や中大分子の移行促進活性を解析し、抗体の血液脳関門制御活性の詳細を理解するとともに、本抗体を用いてマウス脳疾患モデルの治療効率を高められるかを検証していく予定である。
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