研究課題/領域番号 |
17K19489
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
宮地 孝明 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 研究教授 (40550314)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | トランスポーター / 化学伝達 / ATP / グルタミン酸 / 疼痛 |
研究実績の概要 |
神経因性疼痛と炎症性疼痛は、様々な疾患により引き起こされる耐え難い慢性疼痛であり、グルタミン酸とプリン作動性化学伝達が制御する。疼痛管理はQuality of Lifeの観点から重要であるが、副作用の少ない、効果的な鎮痛薬はこれまでにない。本研究課題は、化学伝達の開始点と種類を決定する小胞型神経伝達物質トランスポーターに着目し、鎮痛薬の開発を目指した新しい化学伝達制御法を確立することを目的とする。 本年度は新たな慢性疼痛モデルマウスの評価系を構築し、小胞型神経伝達物質トランスポーターの阻害剤がこの疼痛モデル動物において強力な鎮痛効果を発揮することを見出した。これにより、小胞型神経伝達物質トランスポーターの阻害剤は幅広い慢性疼痛に有効であることが強く示唆された。また、既存医薬品との薬効を比較したが、他の疼痛モデルマウスと同様に、この阻害剤は神経障害性疼痛治療薬のプレガバリンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)のジクロフェナクよりも有効であった。さらに、新しい小胞型神経伝達物質トランスポーターの阻害剤を探索したところ、新たに強力な阻害剤の同定に成功した。これはタンパク質レベルだけでなく細胞レベルでも有効であった。これら小胞型神経伝達物質トランスポーターの阻害剤は新たな創薬シーズになり、トランスポーターを標的とした世界初の鎮痛薬の開発に繋がると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の慢性疼痛モデルマウスの評価系を構築し、これらの評価系に対して小胞型神経伝達物質トランスポーターの阻害剤の有効性を示すことができた。そのため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
新たに見出した小胞型神経伝達物質トランスポーターの阻害剤が個体レベルでも有効か検証する。また、引き続き新たな小胞型神経伝達物質トランスポーターの阻害剤の探索を続ける。
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