研究課題
受容体、チャネル、トランスポーターなど膜タンパクの多くは安定的に発現し、その半減期も数日に及ぶと考えられている。しかしながら、それら見解は主に培養細胞を用いた実験から導き出されたものであり、生体内でのこれらタンパクの細胞膜上での発現は約24時間周期で変動する概日リズムを示している。申請者は肝臓、腎臓、小腸などで24時間周期の発現変動を示す足場タンパクを同定し、このタンパクによって細胞内での足場形成に概日リズムが生じることで、トランスポーターなどの細胞膜上への局在が時刻によって変動するのではないかとの仮説のもと検討を行った。その結果、足場タンパクNHERF1はトランスポーターを含む複数の膜タンパク質と時刻依存的に結合して膜発現の安定化に概日リズムを引き起こしていることが明らかになった。また、NHERF1によるトランスポーターの細胞膜局在の概日リズムは、その基質となる化合物の輸送活性にも影響を及ぼし、細胞内への取込みに時刻依存的な変動を引き起こすことを明らかにした。NHERF1はトランスポーター以外にも受容体やチャネルなどの細胞膜局在に関わることから、足場タンパク質の発現リズムによって、「情報・刺激の感受」「栄養成分の取込み」「老廃物の排泄」などの細胞機能も影響を受けている可能性が示唆された。
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ファルマシア
巻: 55 ページ: 325-329
https://doi.org/10.14894/ faruawpsj.55.4_325
Scientific Reports
巻: 8 ページ: 9072
10.1038/s41598-018-27280-w