研究課題
本研究では、新たな腎臓特異的なin vivo遺伝子導入法として、圧力刺激を利用したメカノトランスフェクション法を開発してきた。この中で、投与量や全身への分布を最小限に抑える投与経路として、ラットを用いた輸尿管投与に関する開発をすすめてきた。投与経路の違いにより、腎臓内遺伝子導入細胞に違いがあるものと予想されるが、これまでに明らかにされたことはない。また、治療標的の観点から、遺伝子導入細胞の解明は重要である。そこでこれまで不明であったラット腎臓のメカノトランスフェクションに関して、腎動脈並びに輸尿管経路からプラスミドDNAを投与し、圧力刺激を施した際の腎臓内組織における遺伝子発現細胞の特定を行った。その結果、ラットを用いた輸尿管投与では皮質・髄質の尿細管上皮細胞へ広範に遺伝子導入され、腎動脈投与経路では、皮質の間質線維芽細胞、糸球体内皮細胞、尿細管上皮細胞に遺伝子導入されることが示唆された。これらの情報は、投与経路の選択により遺伝子導入細胞を制御することができる可能性を示された。一方、マウス心臓におけるメカノトランスフェクションにおいては、これまで未特定であった遺伝子導入細胞の特定を行った。免疫組織染色を行った結果、マウス心臓における遺伝子導入細胞が血管内皮細胞である可能性を示した。これらの情報は、腎臓や心臓を対象とした遺伝子機能解析や遺伝子治療法の開発において有益な情報となることが期待される。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 備考 (1件)
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