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2017 年度 実施状況報告書

p53機能修飾低分子化合物の天然資源からの探索

研究課題

研究課題/領域番号 17K19497
研究機関熊本大学

研究代表者

塚本 佐知子  熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (40192190)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワードp53 / 天然資源 / 探索 / Nrf2 / がん抑制効果
研究実績の概要

2016年にWalerychらは、変異型p53の機能獲得としてNrf2を介したプロテアソームの転写活性化について報告した。これは、野生型p53では起きない現象である。そこで彼らは、変異型p53を野生型に変換させることにより、がん抑制効果が期待できると考え、「変異型p53を野生型に変換させる化合物」を作用させることにより、プロテアソームの転写活性化が消失することを示した。
変異型p53の機能を野生型へ転換させる化合物は、がん細胞選択的に増殖抑制作用を示すと考えられる。そのような変異型p53の機能を修飾し野生型へと転換させる天然資源由来の化合物を探索するために、蛍光免疫染色法によって細胞内のp53の表現型を検出する評価系の構築を行った。使用する細胞としてp53変異型のSKBR-3乳腺がん細胞を用いた。また、変異型p53を野生型に転換する作用が報告されているフェネチルイソチオシアネート(PEITC)をポジティブコントロールとして用いた。化合物処理群およびコントロール群に対して野生型p53を特異的に認識するマウス由来モノクローナル抗体あるいは変異型p53を特異的に認識するマウス由来モノクローナル抗体を一次抗体として各細胞に処理し、蛍光標識二次抗体で免疫染色を行い蛍光顕微鏡で観察した。条件検討した結果、コントロール群では変異型p53の蛍光免疫染色に成功したが、PEITC処理群では細胞障害が惹起され免疫染色効率が低下した。現在、化合物処理濃度の検討や蛍光免疫染色の条件検討を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在、変異型p53を野生型に転換することを評価するアッセイ系の構築を行っているが、化合物処理濃度の検討や蛍光免疫染色の条件検討を重ねることにより、間もなくスクリーニングを開始できる見込みである。

今後の研究の推進方策

今後は蛍光免疫染色の条件を最適化し、マルチウェルプレートでSKBR-3細胞におけるp53の表現型を評価可能なアッセイ系を構築する。また、構築したアッセイ系を用いて天然資源のスクリーニングを行い、p53の表現型を転換する天然物の探索を行う。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は、アッセイ系の構築の遅れのためスクリーニングが開始できなかったためである。そこで、次年度にスクリーニングを行うために使用する予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Naturalis Biodiversity Center(オランダ)

    • 国名
      オランダ
    • 外国機関名
      Naturalis Biodiversity Center
  • [国際共同研究] Sam Rstulangi University(インドネシア)

    • 国名
      インドネシア
    • 外国機関名
      Sam Rstulangi University
  • [雑誌論文] Lamellodysidines A and B, Sesquiterpenes Isolated from the Marine Sponge Lamellodysidea herbacea2017

    • 著者名/発表者名
      Torii Masumi、Kato Hikaru、Hitora Yuki、Angkouw Esther D.、Mangindaan Remy E. P.、de Voogd Nicole J.、Tsukamoto Sachiko
    • 雑誌名

      J. Nat. Prod.

      巻: 80 ページ: 2536~2541

    • DOI

      10.1021/acs.jnatprod.7b00610

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 非酵素的反応による天然物の構造多様性の拡張2018

    • 著者名/発表者名
      塚本 佐知子
    • 学会等名
      日本薬学会第138年会シンポジウム「天然物パワー5:『生物現象を制御する天然分子』」
    • 招待講演
  • [学会発表] ECDスペクトルの加成性を活用した4種のセスキテルペンの構造解析2017

    • 著者名/発表者名
      塚本佐知子、鳥井万純、人羅勇気、加藤光
    • 学会等名
      第12回化学生態学研究会
  • [学会発表] 海洋資源からのモノトリ研究2017

    • 著者名/発表者名
      塚本 佐知子
    • 学会等名
      第19回マリンバイオテクノロジー学会仙台大会 ミニシンポジウム「出口志向のススメ~基礎研究から実用化に向けて~」
    • 招待講演
  • [学会発表] 海洋天然物化学の魅力2017

    • 著者名/発表者名
      塚本 佐知子
    • 学会等名
      第54回数理医学研究会 数理医学セミナー
    • 招待講演
  • [図書] アルカロイドの科学 ―生物活性を生みだす物質の探索から創薬の実際まで―2017

    • 著者名/発表者名
      塚本 佐知子(高山 廣光 編)
    • 総ページ数
      560
    • 出版者
      化学同人
    • ISBN
      ISBN978-4-7598-1418-7
  • [備考] 熊本大学大学院生命科学研究部 天然薬物学分野

    • URL

      http://kumamoto-natmed.net/

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公開日: 2018-12-17   更新日: 2019-10-18  

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