研究課題/領域番号 |
17K19498
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
城野 博史 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (40515483)
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研究分担者 |
安東 由喜雄 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (20253742)
有馬 英俊 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (50260964)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 高機能性遺伝子キャリア / RNAi医薬 / アミロイドーシス / 家族性アミロイドポリニューロパチー |
研究実績の概要 |
難治性アミロイドーシスの根治療法開発への道を切り開くべく、本研究期間中に、シクロデキストリン/デンドリマー結合体を「新規マルチターゲット型アミロイドーシス治療薬」とした従来にない治療コンセプトの確立を目指し、本剤を用いた以下の①~③の研究項目を実施した。 ① 新規FAP治療薬としての薬効薬理評価:FAP疾患モデル(ATTR V30M Tg)を用いた薬効薬理試験において、トランスサイレチン(TTR)沈着に対する本剤投与群と非投与群の比較検討の結果(生後12-15ヶ月齢、3カ月間)、本剤の投与によりTTR沈着の有意な減少が確認され、本剤の予防効果に加え、疾患発症後における治療効果を示すことができた。 ② 複合体形成によるシナジー効果メカニズムの解明:FAPを対象疾患とし、本剤および各種RNAi医薬品(siRNA、shRNAなど)との複合体形成時のTTRアミロイド線維抑制効果を確認したところ、RNAi医薬品の種類に関わらず複合体形成によるシナジー効果が確認できた。 ③ 各種アミロイドーシスにおける治療効果の検証:FAPのアミロイド前駆タンパク質であるTTR、アルツハイマーのアミロイド前駆タンパク質であるアミロイドβなどにおいて治療効果が確認され、②の複合体形成によるシナジー効果も確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、シクロデキストリン/デンドリマー結合体を「新規マルチターゲット型アミロイドーシス治療薬」とした従来にない治療コンセプトの確立を目指しているが、本年度の研究結果から、① 疾患モデル動物を用いた薬理試験により一定の治療効果(TTR沈着抑制効果)が確認されていること、② 本剤が有している、RNAi医薬との複合体形成によるアミロイド線維抑制効果に対するシナジー効果が認められていること、③ 様々なアミロイド原因タンパク質に対しても同様な効果が得られていること、などの成果が得られており、次年度以降計画している薬効評価・作用機序の解明および治療コンセプトの実証(POC)を遂行するための十分な基礎的知見を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に得られた研究成果を基に、次年度の研究推進方策として、 ① FAP疾患モデル動物(ATTR V30M Tg)やFAP患者由来iPS細胞などを最大限に活用し、本剤が最大治療効果を発揮する最適条件の検討を行う。 ② 本剤の物性評価(遺伝子導入キャリア特性、粒子径、ζ電位等)による、本剤のシナジー効果メカニズムの解明③ 各種アミロイド原因タンパク質(血清アミロイドA、β2ミクログロブリンなど)を対象とした治療効果の評価 上記の検討を行い、本剤の新規治療薬としての有用性の検証を継続して実施する予定である。
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