研究課題/領域番号 |
17K19507
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大場 雄介 北海道大学, 医学研究院, 教授 (30333503)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 細胞形態 / 細胞内小器官 / 細胞認証 |
研究実績の概要 |
本研究は、種々の細胞種や細胞の置かれている状態において、各細胞内小器官の配置に関するパラメータを網羅的に取得し、このパラメータをもとに細胞を認証するための「テンプレート」とそれを記述するための「座標軸」を設定することを目的として実施中である。 まず、無標識で細胞形態を抽出するためのアルゴリズムを構築した。透過像の一種である微分干渉画像の輝度情報に加え、その微分画像から細胞の存在する場所を特定することに成功した。この技術により、今後蛍光を用いて細胞を観察する際には、従前に比べて1事象多く情報を得ることができるようになる。また、ある種の培養細胞の早期エンドソームと核を蛍光ラベルし、上記の細胞全体、エンドソーム、核の分布位置の重心を、画像解析ソフトを用いて算出した。その結果、これら3つ構造体の重心は非常に高い確率で直線状に配置されることが明らかになった。3つの重心座標に対する回帰直線に対する相関係数は、観察した細胞の約70%において0.7以上の値を示した。他の傾向として、細胞質とエンドソームの重心は核の重心と比べると近い位置にあり、核膜周囲から核内にかけて存在した。なお、回帰直線は細胞の長軸方向あるいは核の長軸方向とは一致しなかった。相関係数と細胞の大きさあるいは核の大きさとは無関係であった。 さらに、後期エンドソームについても同様の解析を行い、早期エンドソームとの区別を試みた。その結果、後期エンドソームの重心も同一直線上に位置すること、後期エンドソームの重心位置は早期エンドソームより核の重心により近い位置に存在することが示された。 以上の結果から、細胞内小器官の配置にはある一定の法則が存在すること、それを用いて小器官を画像データから区別することが可能であることが示され、細胞認証の「テンプレート」の候補となる情報を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね調書記載の計画通りの進捗であるため。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に記載した通り、その他の細胞内小器官についても同様の解析を進めるとともに、解析する細胞種や細胞の状態を拡充して実験する。これらのデータを集約し細胞認証の基盤構築を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度前期に予想以上に研究が進展したため、当初予定していた以上の種類のオルガネラマーカーの作製を行う必要に迫られた。そのため、前倒し申請により1.000.000円追加した。その後、検討を重ねたところ、いくつか作成する必要のないマーカータンパク質を同定することができたため、計画よりも効率的に実験が進み、60.000円ほど研究費を使用せずにすんだ。したがって、この繰越した研究費と翌年度分の研究費を併せて、機械学習に向けた解析をはじめる。その際、データが予想以上に蓄積されてきたため、コンピュータのスペックを上げる必要があり、前年度から繰り越された分を充てる予定である。
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