本研究では、血管新生能を担っている内皮細胞特有の分子システムを見出して内皮細胞以外の細胞において再構築し、血管構造を実際に作らせることを目標とした。その結果、血管内皮細胞では他の非血管系細胞と異なる特有の動態を示し、その一部にVE-カドヘリンが関与することが明らかになった。さらに、血管新生過程での単一細胞レベルのRNA-seqにより、KLF転写因子が内皮細胞特有の動態発現制御に関与することを見出した。しかし、現時点でVE-カドヘリン、KLF転写因子のみの導入では非内皮細胞に血管構造形成能を賦与するには至らず、現在VE-カドヘリン非依存性運動の制御分子など、第3の因子を探索中である。
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