従来のin vitroでの力学的特性からは細胞内の小胞の運動特性が説明できない。細胞内で輸送される小胞に働く力を計測する手法の開発した結果、細胞内を輸送される小胞には、in vitroの約1000倍もの粘性抵抗を受けていることが示された。しかし、小胞輸送の速度は、細胞内の方が、1000倍もの負荷を受けながら、むしろ速く、ときには4倍以上の速度に達する。細胞内の混雑環境がstaticな混雑環境ではなく、細胞内でのエネルギー消費にともなってactiveに揺らぐ非平衡環境であるためではないかと考え、これを定量的に計測することを目標として、その指標である「非平衡温度」の計測のための技術開発を行った。
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