研究課題
本研究は私たちによってその本体分子がSLCO2A1であることが明らかにされたマキシアニオンチャネルMaxi-Clの活性化・不活性化(開閉)メカニズムの解明を目指した。平成29年度にはその活性化制御サブユニットとしてアネキシンA2(ANXA2)を、平成30年度にはこれと協力してMaxi-Clの開閉制御に関与する分子としてS100A10を同定した。令和元年度においては、ANXA2とS100A10の間に相互作用があるかどうか、そしてそれがMaxi-Clの活性化・不活性化制御にいかに関与するかについて調べた。まず第一に、免疫沈降法によってANXA2とS100A10が実際にタンパク質-タンパク質相互作用(結合反応)を示すことを確認した。第二に、それらの結合を阻止する合成ぺプチドAC-(1-14)によってMaxi-Cl活性が抑制されることを確認し、両タンパク質の結合がMaxi-Cl活性化に不可欠であることを示した。Maxi-Clはチロシンリン酸化によって不活性化されることが知られていたが、ANXA2のチロシンリン酸化模擬変異体ANXA2-Y23Eの強制発現によって実際に本チャネル活性は抑制されることを確認し、Maxi-Clチャネル不活性化はANXA2のY23部位のリン酸化によることを第三に明らかにした。一方、Maxi-Clチャネル活性は細胞内Ca2+増によって高まることが知られているが、S100A10をノックダウンすることによってCa2+による活性亢進効果が消失することを確認し、S100A10こそがこのCa2+効果を担うことを第四に明らかにした。以上によって、Maxi-Clの活性化・不活性化制御メカニズムの分子論的解明に成功した。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件)
Communication Biology
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