本研究の目的は、神経細胞上でのAMPA受容体(AMPAR)の分布を明らかにし、シナプス可塑性を生む機構を解明することである。HEK293細胞上で1分子観察を行った結果、AMPARの4量体は安定ではなく、単量体も存在していた。マウス神経細胞上でも、AMPARは、約100ミリ秒という短寿命のホモダイマーを形成した。Homer-1bドメイン上のシナプス領域ではAMPARの運動は非常に遅いが、シナプス領域外では速い成分も存在した。これらの結果から、刺激に応じて神経細胞がシナプス領域内外のAMPAR密度を迅速に変えシナプス伝達効率を変更できるのは、AMPAR単量体の速い動きが原因だということを提案した。
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