研究課題/領域番号 |
17K19527
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
榎本 秀樹 神戸大学, 医学研究科, 教授 (00360511)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 臓器感覚 / 内臓神経系 |
研究実績の概要 |
本研究は、臓性一次知覚ニューロンの集合体である舌咽・迷走神経の下神経節(nodose-petrosal ganglia: 以下NPGと略す)のニューロンの中から、特に腸管の特定の部位の情報を収集するニューロン群を同定し、各ニューロン群の機能を明らかにすることを目的とする。本研究では以下の事項の解明を目指す。I. 腸管の部位特異的に投射するNPGニューロンの遺伝子プロファイリング:逆行性に輸送される光変換タンパクをNPGニューロンに発現するマウスや腸管神経系を人為的に興奮可能なマウスを作製し、特定の腸の部位に投射するNPGニューロンとそこに特異的に発現する遺伝子を同定する。II. 腸管の部位特異的に投射するNPGニューロン群の機能解析:Cre-loxPシステムを用いて、特定の臓器に投射するNPGニューロンに、臓器の機能変動による神経興奮の有無を解析する。III. 腸管の部位特異的NPGニューロンから二次ニューロンマッピング:腸管の部位特異的にに投射するNPGニューロンを人為的に興奮させ、その後のc-fos発現により、二次ニューロンの脳内マッピングを行う。 平成30年度はこの遂行に必須な生態研究材料である遺伝子改変マウスの作製法をさらに改良し、Cre-loxPとFLPe-FRTの2重組み換えにより生体内でNPGニューロンのみを蛍光標識するシステムを開発した。また、NPGニューロンをはじめとする内臓神経回路を構成するニューロンに発現するPhox2b転写因子の遺伝子座にCreを挿入したマウスを作製し、Cre依存的にGFPを発現するAAVをNPGに直接注入してNPGニューロンの臓器への投射を特異的に可視化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
I. 腸管の部位特異的に投射するNPGニューロンの遺伝子プロファイリング およびII. 腸管の部位特異的に投射するNPGニューロン群の機能解析:Cre-loxPおよびFLP-Frtシステムを組み合わせてNPGニューロン特異的にGFPを発現するマウスの作製に成功し、このマウスの腸管神経系を詳細に組織解析できた。この系を応用してNPGニューロンの遺伝子プロファイリングも可能となった。III. 腸管の部位特異的NPGニューロンから二次ニューロンマッピング:現在この 実験を進めるためのNPGニューロンの特定を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
腸管に投射するNPGニューロンの人為的活性化:我々の解析を進めている間に、腸に投射するNPGニューロンは特定のサブタイプの腸内分泌上皮にシナプス結合して、腸内分泌上皮の興奮によりシナプス伝達と同様の機構で神経系にシグナルを伝えていることが明らかとなった(Cell 2017)。我々もNPGニューロンが腸内分泌上皮に投射していることを突き止めていた。今後は、超内分泌上皮特異的にチャネロドプシンを発現するマウスを作製して、腸上皮を光刺激し、神経伝達するNPGニューロンのサブタイプの同定を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に使用するマウスのデザインが変更となり、マウス作製が完了するのが半年以上遅れた。そのため、期間を延長して実験を継続することとなった。
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